人工赤血球への道―新しい赤血球膜を求めて

まず本論に入る前に,血液不足の現況を中心に,毎年輸血学会でとりあげられる問題にふれてみた。われわれの研究がまだ完成しない現在-というのはおこがましい話ではあるが-当分献血制度を進めていく以外,血液不足に対処する道はない。ここで,“どうぞ献血を”といったら諸賢のお叱かりを受けるだろうか。次に血液,特に赤血球,ヘモグロビンの持つ特性について詳しく述べた。われわれが生命の本質にせまろうとするとき,そこに展開される神の創造物の偉大さをこ心をうばわれ,目をみはるのである。最後にわれわれの研究の一端を述べた。前章で詳しい解説をしたため,本論が十分意を尽せなかったかと思われる。廃物利用の,地味な学問だが,意...

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Published in高分子 Vol. 18; no. 3; pp. 187 - 195
Main Author 関口, 弥
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 01.03.1969
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Summary:まず本論に入る前に,血液不足の現況を中心に,毎年輸血学会でとりあげられる問題にふれてみた。われわれの研究がまだ完成しない現在-というのはおこがましい話ではあるが-当分献血制度を進めていく以外,血液不足に対処する道はない。ここで,“どうぞ献血を”といったら諸賢のお叱かりを受けるだろうか。次に血液,特に赤血球,ヘモグロビンの持つ特性について詳しく述べた。われわれが生命の本質にせまろうとするとき,そこに展開される神の創造物の偉大さをこ心をうばわれ,目をみはるのである。最後にわれわれの研究の一端を述べた。前章で詳しい解説をしたため,本論が十分意を尽せなかったかと思われる。廃物利用の,地味な学問だが,意外に分野は広く,やってみるとけっこうおもしろい領域である。学問とはすべてそういうものなのかも知れないのだが。
ISSN:0454-1138
2185-9825
DOI:10.1295/kobunshi.18.187