鼻アレルギー鼻粘膜組織中の各浸潤細胞に対する抗原誘発及びステロイド鼻腔内投与の影響

鼻アレルギーの治療薬として, ステロイド鼻腔内投与 (以下点鼻) が一般に用いられているが, その作用機序は不明な点が多い。ステロイド点鼻は, 鼻粘膜の活性化好酸球の浸潤を抑制することが知られ, その活性化因子としてIL-5の関与が重要である。そこで今回, まず鼻粘膜のIL-5と各浸潤細胞の抗原誘発による動態を観察後に, ステロイド点鼻による影響を免疫組織学的に検討した。結果は, 抗原誘発により活性化好酸球, IL-5陽性細胞, 肥満細胞, 好中球の増加を認め, ステロイド点鼻によりT細胞, 活性化好酸球, 肥満細胞, 好中球の減少を認めた。また, ステロイド点鼻において, IL-5陽性細胞と...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 39; no. 6; pp. 604 - 614
Main Authors 中林, 成一郎, 鈴木, 直弘, 中塚, 滋, 高坂, 知節
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.12.1996
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Summary:鼻アレルギーの治療薬として, ステロイド鼻腔内投与 (以下点鼻) が一般に用いられているが, その作用機序は不明な点が多い。ステロイド点鼻は, 鼻粘膜の活性化好酸球の浸潤を抑制することが知られ, その活性化因子としてIL-5の関与が重要である。そこで今回, まず鼻粘膜のIL-5と各浸潤細胞の抗原誘発による動態を観察後に, ステロイド点鼻による影響を免疫組織学的に検討した。結果は, 抗原誘発により活性化好酸球, IL-5陽性細胞, 肥満細胞, 好中球の増加を認め, ステロイド点鼻によりT細胞, 活性化好酸球, 肥満細胞, 好中球の減少を認めた。また, ステロイド点鼻において, IL-5陽性細胞とT細胞との間に相関を認めた。従って, ステロイド点鼻は, IL-5の生産・放出を直接的に抑制はしないが, IL-5産生細胞として主にT細胞を抑制している可能性が示唆された。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.39.604