泌尿器科領域感染症に対するgatifloxacinの後期第II相臨床試験

フルオロキノロン系抗菌薬gatifloxacin (GFLX) の尿路・性器感染症に対する臨床効果, 安全性および男性性器における体内動態を検討する目的で, 多施設共同研究により一般臨床試験を実施した。 対象は急性単純性膀胱炎, 急性単純性腎孟腎炎, 複雑性尿路感染症, 尿道炎, 前立腺炎, 精巣上体炎の患者で, GFLXを1回100mg~300mg, 原則として1日1~2回 (1日量として150mg~400mg), 3~14日間投薬した。体内動態については, 外科的処置等により男性生殖器系組織および血液の採取可能な患者で検討し, 以下の成績を得た。 1. 単純性尿路感染症に対して, 担当医判...

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Published in日本化学療法学会雑誌 Vol. 47; no. Supplement2; pp. 308 - 322
Main Authors 河田, 幸道, 斎藤, 功, 守殿, 貞夫, 大森, 弘之, 熊本, 悦明, 鈴木, 恵三, 鈴木, 和雄, 折笠, 精一, 名出, 頼男, 町田, 豊平, 大井, 好忠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 27.09.1999
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ISSN1340-7007
1884-5886
DOI10.11250/chemotherapy1995.47.Supplement2_308

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Summary:フルオロキノロン系抗菌薬gatifloxacin (GFLX) の尿路・性器感染症に対する臨床効果, 安全性および男性性器における体内動態を検討する目的で, 多施設共同研究により一般臨床試験を実施した。 対象は急性単純性膀胱炎, 急性単純性腎孟腎炎, 複雑性尿路感染症, 尿道炎, 前立腺炎, 精巣上体炎の患者で, GFLXを1回100mg~300mg, 原則として1日1~2回 (1日量として150mg~400mg), 3~14日間投薬した。体内動態については, 外科的処置等により男性生殖器系組織および血液の採取可能な患者で検討し, 以下の成績を得た。 1. 単純性尿路感染症に対して, 担当医判定による臨床効果は96.6%(28/29例) の有効率であった。また, UTI薬効評価基準による急性単純性膀胱炎19例, 急性単純性腎盂腎炎2例の合わせた総合臨床効果の有効率および原因菌の消失率は, それぞれ100%(21/21例) および100%(33/33株) であった。 2. 複雑性尿路感染症に対して, 担当医判定による臨床効果は68.8%(22/32例) の有効率であった。また, UTI薬効評価基準による総合臨床効果の有効率および原因菌の消失率は, それぞれ70.0%(21/30例) および87.7%(50/57株) であった。 3. 性器感染症に対しては, 担当医判定による臨床効果は尿道炎で97.1%(34/35例), 前立腺炎で86.7%(13/15例), 精巣上体炎で87.5%(7/8例) の有効率であった。また, UTI薬効評価基準による総合臨床効果の有効率および原因菌の消失率は, それぞれ淋菌性尿道炎では88.9%(8/9例) と88.9%(8/9株), 非淋菌性クラミジア性尿道炎では100%(10/10例) と100%(10/10株), 慢性前立腺炎では100%(9/9例) と100%(14/14株) であった。 4. 副作用は122例中4例 (3.3%) に認められ, 臨床検査値の異常変動は76例中3例 (3.9%) に認められた。いずれも重篤なものではなく臨床上特に問題になるものはなかった。 5. GFLX投薬後1~14時間に採取した前立腺および精巣上体の組織中濃度は対血清比1.20~3.28で, これら組織への良好な移行性が示唆された。 以上の成績から, GFLXは尿路感染症および男性性器感染症に対して高い有効性と安全性が認められ, 男性生殖器組織への薬物移行も良好で, 泌尿器科領域の感染症治療において有用性の高い薬剤であると考えられた。
ISSN:1340-7007
1884-5886
DOI:10.11250/chemotherapy1995.47.Supplement2_308