大黄甘遂湯が奏効したバセドウ病を伴う変形性関節症の一例

大黄甘遂湯により変形性関節症に伴う膝関節痛の軽減とともに, バセドウ病の改善を認めた1症例を経験した。症例は61歳女性。主訴は両膝関節痛と下腿浮腫。1995年5月当科に入院。この時, バセドウ病と診断し, 抗甲状腺剤を6ケ月使用した。退院後, 膝関節痛と下腿浮腫増悪のため, ●●●●●●●当科再入院。下腹部の膨満と抵抗圧痛に着目し, 大黄甘遂湯を投与した。両膝関節痛と下腿浮腫は著明に改善し, ●●●●退院となった。再入院時に再燃していた甲状腺機能亢進状態についても, 抗甲状腺剤を使用することなく, 約5ケ月後に正常化した。同方剤は峻下剤といわれている甘遂が配剤されているが, 本例では長期投与に...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 48; no. 4; pp. 459 - 466
Main Authors 三瀦, 忠道, 寺澤, 捷年, 林, 克美, 伊藤, 隆, 田原, 英一
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 20.01.1998
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.48.459

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Summary:大黄甘遂湯により変形性関節症に伴う膝関節痛の軽減とともに, バセドウ病の改善を認めた1症例を経験した。症例は61歳女性。主訴は両膝関節痛と下腿浮腫。1995年5月当科に入院。この時, バセドウ病と診断し, 抗甲状腺剤を6ケ月使用した。退院後, 膝関節痛と下腿浮腫増悪のため, ●●●●●●●当科再入院。下腹部の膨満と抵抗圧痛に着目し, 大黄甘遂湯を投与した。両膝関節痛と下腿浮腫は著明に改善し, ●●●●退院となった。再入院時に再燃していた甲状腺機能亢進状態についても, 抗甲状腺剤を使用することなく, 約5ケ月後に正常化した。同方剤は峻下剤といわれている甘遂が配剤されているが, 本例では長期投与にもかかわらず下痢などの副作用は認めなかった。本方剤の治験例は明治以降では2例のみ報告されているに過ぎない。そこで本証に特有とされる「小腹満して敦状の如き」腹候に関して文献的検討を行い, 使用目標について考察した。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.48.459