非常に長い興奮周期(570ms) で三尖弁輪周囲を旋回したため心房頻拍様心電図を示したマクロリエントリー性頻拍の1例
症例は73歳, 女性. 洞不全症候群のため, ペースメーカ植込みを施行されていたが, 2002年心房頻拍(AT)と診断された. ATは誘発されるもすぐ心房細動(AF)に移行しマッピング困難であった. CARTOで作成したvoltage mapでは, 右心房に広範な低電位領域と瘢痕領域が存在していたが, チャネルの同定ができず, AF中の異常連続電位を指標に数カ所通電を加え終了した. 2010年, 動悸の頻度が増加し再度入院. 心臓電気生理学的検査では, AT1(CL 420msec)が誘発され, EnSiteのactivation mapで右心房中隔に最早期興奮部位を認め同部位の通電でAT1は...
Saved in:
Published in | 心臓 Vol. 43; no. SUPPL.3; pp. S3_61 - S3_67 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2011
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.43.S3_61 |
Cover
Summary: | 症例は73歳, 女性. 洞不全症候群のため, ペースメーカ植込みを施行されていたが, 2002年心房頻拍(AT)と診断された. ATは誘発されるもすぐ心房細動(AF)に移行しマッピング困難であった. CARTOで作成したvoltage mapでは, 右心房に広範な低電位領域と瘢痕領域が存在していたが, チャネルの同定ができず, AF中の異常連続電位を指標に数カ所通電を加え終了した. 2010年, 動悸の頻度が増加し再度入院. 心臓電気生理学的検査では, AT1(CL 420msec)が誘発され, EnSiteのactivation mapで右心房中隔に最早期興奮部位を認め同部位の通電でAT1は停止した. その後AT2(CL 545msec)が誘発され, 右心耳基部に最早期興奮部位を認め, 同部位の通電で誘発されなくなった. さらにAT3(CL 570msec)が誘発された. CARTOのactivation mapでは三尖弁輪を反時計方向回転に旋回しており右房峡部でpost pacing intervalがCLと一致したため, 右房峡部に線状通電を行ったところ, 通電中にAT3は停止し誘発されなくなった. 通常型心房粗動のCLは200msec前後であることが多い. 本症例のように570msecという長いCLを持った頻拍が三尖弁輪上を興奮旋回することは稀と考えられたので報告する. |
---|---|
ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.43.S3_61 |