慢性肝疾患時の耐糖能異常に関する臨床的検討 とくに膵障害の関与について

慢性肝疾患にみられる耐糖能異常の機序を追求する一環として合併する膵内外分泌機能障害の実態を明らかにし,耐糖能との関連性を検討した.慢性肝疾患101例にPancreozymin secretin試験とブドウ糖負荷試験を行い,大多数の例で糖負荷後の血中インスリン反応を,一部の例ではアルギニン静注負荷後の血中インスリン,グルカゴン動態も検討した.膵外分泌機能障害を呈した例は非硬変群の40%,肝硬変群の55%に達したが,その大多数は軽度障害であり,この段階では耐糖能や内分泌機能に対する影響は認められなかった.中等度以上の外分泌機能障害は非硬変の大酒家で多くみられ,耐糖能異常やインスリン低反応,グルカゴ...

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Published in肝臓 Vol. 19; no. 3; pp. 270 - 278
Main Authors 山崎, 嘉弘, 中村, 昌男, 榊原, 啓, 奥村, 信義, 鈴木, 敏行, 武市, 政之, 武井, 毅, 早川, 哲夫, 加藤, 活大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.03.1978
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.19.270

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Summary:慢性肝疾患にみられる耐糖能異常の機序を追求する一環として合併する膵内外分泌機能障害の実態を明らかにし,耐糖能との関連性を検討した.慢性肝疾患101例にPancreozymin secretin試験とブドウ糖負荷試験を行い,大多数の例で糖負荷後の血中インスリン反応を,一部の例ではアルギニン静注負荷後の血中インスリン,グルカゴン動態も検討した.膵外分泌機能障害を呈した例は非硬変群の40%,肝硬変群の55%に達したが,その大多数は軽度障害であり,この段階では耐糖能や内分泌機能に対する影響は認められなかった.中等度以上の外分泌機能障害は非硬変の大酒家で多くみられ,耐糖能異常やインスリン低反応,グルカゴン低反応を伴う例が多かった.慢性肝疾患全体としては膵障害は耐糖能異常の発現に著しく関与しているとは言えないが,大酒歴を有する非硬変例で耐糖能低下がみられる時には膵障害の合併も考えて,その検索をすることが大切である.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.19.270