シンジオタクチシティに富むポリビニルアルコールの塩酸溶液からのゲル紡糸

シンジオタクチシティに富むポリビニルアルコール (s-PVA) を塩酸溶液から紡糸することを目的として, その塩酸溶液の性質, 水酸化ナトリウム水溶液凝固能を調べるとともに紡糸繊維の性質を調べた. 純水溶液に対する溶液の電気伝導度の低下, および極限粘度の増加からOH基がオキソニウムイオンを形成し, s-PVAが溶解するものと推定した. 60℃以下では塩酸水溶液の放置による重合度低下はほとんどないことがわかった. 凝固性は従来のポリ酢酸ビニルから得たポリビニルアルコール (a-PVA) より高く, 低い水酸化ナトリウム濃度の凝固浴でゲル紡糸的紡糸ができることがわかった. また, この紡糸繊維は...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in高分子論文集 Vol. 52; no. 11; pp. 710 - 717
Main Authors 岡崎, 正樹, 宮坂, 信義, 松沢, 秀二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 25.11.1995
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:シンジオタクチシティに富むポリビニルアルコール (s-PVA) を塩酸溶液から紡糸することを目的として, その塩酸溶液の性質, 水酸化ナトリウム水溶液凝固能を調べるとともに紡糸繊維の性質を調べた. 純水溶液に対する溶液の電気伝導度の低下, および極限粘度の増加からOH基がオキソニウムイオンを形成し, s-PVAが溶解するものと推定した. 60℃以下では塩酸水溶液の放置による重合度低下はほとんどないことがわかった. 凝固性は従来のポリ酢酸ビニルから得たポリビニルアルコール (a-PVA) より高く, 低い水酸化ナトリウム濃度の凝固浴でゲル紡糸的紡糸ができることがわかった. また, この紡糸繊維は均一に凝固しており, 延伸性は高く, 200℃での最大延伸倍率は20倍以上で, 延伸繊維の引張り強度が2.5GPa, 初期ヤング率は45GPaに達するものであった. 結晶化度と配向度は延伸倍率とともに増加したが, 高延伸繊維中には繊維軸に垂直な縞の発生がみられ, 力学的性質は縞発生前の延伸倍率のものより大となることはなかった.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.52.710