ラット口蓋部における瘢痕形成が骨表面の微細構造に与える影響
口蓋裂患者では, 幼少期にpush back法による口蓋形成手術が広く行われているが, 術後の瘢痕組織が上顎骨の成長を抑制すると報告されている. 本研究では, 実験的に生後20日齢ラットの口蓋粘膜を一部除去して瘢痕形成を行い, 術後6週経過時に口蓋粘膜の病理組織学的検索および口蓋骨表面の走査電顕的検索を行った. 対照群の口蓋粘膜は, 角化重層扁平上皮, 上皮下の線維性結合組織よりなり, 口蓋骨面には骨膜がみられた. 実験群では, 不規則な角化重層扁平上皮とその直下に瘢痕性結合組織がみられ, 骨膜はみられなかった. 走査電顕像では, 対照群に比べて細動静脈孔が減少しており, また骨表面の粗 化と...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 45; no. 4; pp. 180 - 186 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
20.08.2003
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ISSN | 0385-0137 |
DOI | 10.2330/joralbiosci1965.45.180 |
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Summary: | 口蓋裂患者では, 幼少期にpush back法による口蓋形成手術が広く行われているが, 術後の瘢痕組織が上顎骨の成長を抑制すると報告されている. 本研究では, 実験的に生後20日齢ラットの口蓋粘膜を一部除去して瘢痕形成を行い, 術後6週経過時に口蓋粘膜の病理組織学的検索および口蓋骨表面の走査電顕的検索を行った. 対照群の口蓋粘膜は, 角化重層扁平上皮, 上皮下の線維性結合組織よりなり, 口蓋骨面には骨膜がみられた. 実験群では, 不規則な角化重層扁平上皮とその直下に瘢痕性結合組織がみられ, 骨膜はみられなかった. 走査電顕像では, 対照群に比べて細動静脈孔が減少しており, また骨表面の粗 化と骨基質の膠原線維束の不明瞭化が認められた. 以上より, 術後の瘢痕形成は骨への栄養供給の低下とともに, 口蓋骨の成長に影響を与えることが示唆された. |
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ISSN: | 0385-0137 |
DOI: | 10.2330/joralbiosci1965.45.180 |