アンサンブルカルマンフィルタによるモデルパラメータ推定 大変形を伴う非線形複合構造システムへの適用
一般に構造計算に用いられる数値解析モデルには,部材の物性値や荷重条件など種々のモデルパラメータが含まれる.これらのパラメータは構造物の製造時の誤差や周辺環境の不確定性など様々な要因から不確定性を含んだものとなる.構造設計では,モデルパラメータの持つ不確定性を適切に評価したうえで,安全性や信頼性を確保する必要がある.モデルパラメータの不確定性を評価するためには,多数の運用データにもとづく経験則を用いるか,試験データを利用した統計的なパラメータ推定が必要とされる.数値解析モデルが線形に近くモデルパラメータの数も少ない場合,最小二乗法などの一般的な方法で試験データから容易にパラメータ推定を行うことが...
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Published in | 日本計算工学会論文集 Vol. 2010; p. 20100021 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本計算工学会
24.12.2010
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Summary: | 一般に構造計算に用いられる数値解析モデルには,部材の物性値や荷重条件など種々のモデルパラメータが含まれる.これらのパラメータは構造物の製造時の誤差や周辺環境の不確定性など様々な要因から不確定性を含んだものとなる.構造設計では,モデルパラメータの持つ不確定性を適切に評価したうえで,安全性や信頼性を確保する必要がある.モデルパラメータの不確定性を評価するためには,多数の運用データにもとづく経験則を用いるか,試験データを利用した統計的なパラメータ推定が必要とされる.数値解析モデルが線形に近くモデルパラメータの数も少ない場合,最小二乗法などの一般的な方法で試験データから容易にパラメータ推定を行うことができる.一方,例えば展開宇宙構造物のように非線形性が強く不確定なモデルパラメータの数が非常に多い場合,推定に多大な労力を要する.本論文では,近年提案された非線形問題を対象とした有力な状態推定方法であるアンサンブルカルマンフィルタを大変形を伴う非線形複合構造システムのモデルパラメータ推定へ適用し,その有効性を検証した.具体的な適用対象として,ヒンジ部に不確定性を有するペナルティバネを設置したケーブルとリブからなる展開構造システムを考え,アンサンブルカルマンフィルタを用いたペナルティバネ定数推定の数値実験を行った.実験結果からアンサンブルカルマンフィルタの設定パラメータである観測ノイズ,システムノイズ,粒子数等で真値への収束状況は異なるものの,本論文による方法で概ね良好な推定結果を得られることを確認した. |
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ISSN: | 1347-8826 |