2010年7月に広島県庄原市で発生した土砂災害の調査と考察 平行斜面中腹の崩壊メカニズムに関する検討

2010年7月16日の15時から18時にかけて,広島県庄原市において3時間累積雨量173mmの集中豪雨(大戸雨量計)が発生した。この集中豪雨により,約4km×4kmの狭い範囲において200箇所以上の斜面崩壊が発生した。この災害では,平行斜面の中腹のみが崩壊している形態が多数確認された。本論は,この平行斜面中腹の崩壊について調査し,室内試験,模型実験,安定解析を行った。現地調査の結果,崩壊した平行斜面は斜面中腹から下部にかけて,風化流紋岩層の上に透水係数の低い黒ぼく層が堆積しており,その地表面の境界付近で崩壊していることがわかった。斜面模型の降雨実験の結果,その黒ぼく層が地下水の流下を妨げ,局所...

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Published in地盤工学ジャーナル Vol. 7; no. 1; pp. 295 - 309
Main Authors 土田, 孝, 加納, 誠二, 川口, 将季, 花岡, 尚, 中川, 翔太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 地盤工学会 2012
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ISSN1880-6341
DOI10.3208/jgs.7.295

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Summary:2010年7月16日の15時から18時にかけて,広島県庄原市において3時間累積雨量173mmの集中豪雨(大戸雨量計)が発生した。この集中豪雨により,約4km×4kmの狭い範囲において200箇所以上の斜面崩壊が発生した。この災害では,平行斜面の中腹のみが崩壊している形態が多数確認された。本論は,この平行斜面中腹の崩壊について調査し,室内試験,模型実験,安定解析を行った。現地調査の結果,崩壊した平行斜面は斜面中腹から下部にかけて,風化流紋岩層の上に透水係数の低い黒ぼく層が堆積しており,その地表面の境界付近で崩壊していることがわかった。斜面模型の降雨実験の結果,その黒ぼく層が地下水の流下を妨げ,局所的に地下水位が上昇する構造になっていることがわかった。調査した崩壊斜面を対象とした安定解析の結果,地下水位が風化流紋岩層の地表面まで上昇していた場合に安全率が1.03となり,黒ぼく層との地表面の境界付近における地下水位の上昇による安全率の低下により崩壊をほぼ説明することができた。
ISSN:1880-6341
DOI:10.3208/jgs.7.295