下顎前突症症例において下顎枝矢状分割術で後方移動する際のミニプレート固定法と2本のネジ止め固定法との術後骨格安定度について

下顎枝矢状分割時の近遠位骨片固定法は近年,ネジのみによる固定法とミニプレートによる固定法が多くの施設で行われている.しかし,その術後の骨格安定度を比較した研究は少ない.下顎前突,反対咬合を有する顎変形症患者で両側に下顎枝矢状分割術を施行した症例で,近遠位骨片の接合に口腔内から2.7mmのネジ2本で固定した14症例と4穴ミニプレートを外側皮質骨のみに固定した24症例の2群に分けて検討した.2群間の年齢,性別,側方X線規格写真で得られた角度および前歯被蓋関係に有意差のない38症例とした.2.7mmのネジ2本の近遠位骨片の接合部位は口内法で下顎枝前縁上方に骨間貫通法とした.4穴ミニプレート使用群はネ...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 63; no. 1; pp. 1 - 7
Main Authors 冨永, 和宏, 喜久田, 利弘, 福田, 仁一, 瀬戸, 美夏, 古田, 治彦, 原, 巌, 吉岡, 泉, 助臺, 美帆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 2009
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ISSN0368-6833
1880-8719
DOI10.2504/kds.63.1

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Summary:下顎枝矢状分割時の近遠位骨片固定法は近年,ネジのみによる固定法とミニプレートによる固定法が多くの施設で行われている.しかし,その術後の骨格安定度を比較した研究は少ない.下顎前突,反対咬合を有する顎変形症患者で両側に下顎枝矢状分割術を施行した症例で,近遠位骨片の接合に口腔内から2.7mmのネジ2本で固定した14症例と4穴ミニプレートを外側皮質骨のみに固定した24症例の2群に分けて検討した.2群間の年齢,性別,側方X線規格写真で得られた角度および前歯被蓋関係に有意差のない38症例とした.2.7mmのネジ2本の近遠位骨片の接合部位は口内法で下顎枝前縁上方に骨間貫通法とした.4穴ミニプレート使用群はネジ2本群と同様に口内法で2.0×5.0mmネジもしくは2.0×7.0mmネジ4本にて下顎7番部頬側から下顎枝前縁上方に外側皮質骨のみに固定した. これら2群の術後骨格安定度は術前1週間前,術後1週間後と術後1年後の側方X線規格写真を用いて比較検定した. その結果,術前後の1週間の差において,∠SNB,∠ANBに有意差はなかった.しかし,∠MP-FH,∠Goにおいてネジ2本群はミニプレート群より有意に反時計回り回転が大きかった.術後1週間目と術後1年目の差においても,B点における有意差はなかった.しかし,∠MP-FHにおいてネジ2本群はミニプレート群より有意に時計回りに移動していた. 以上より,下顎枝矢状分割で遠位骨片を後方移動する際の骨片固定は,下顎枝前方のネジ2本による固定よりミニプレートとネジ4本による固定法の方が術後の骨格安定度において優れていることが示唆された.
ISSN:0368-6833
1880-8719
DOI:10.2504/kds.63.1