急性前頭洞炎の感染経路とその治療

急性の前額部痛, 眼周囲痛を主訴とし, X-Pにおいて前頭洞陰影を認めて, 急性前頭洞炎と診断した24症例を治療した。前頭洞陰影は23例 (96%) に片側性に発生していた。副鼻腔全体のX-P陰影も片側性にのみ認めるものは18例 (83%) であり, 前頭洞陰影を認める患側の節骨洞, 上顎洞陰影は23例 (96%) に陽性を示した。薬剤の内服療法で痛みの改善は全症例で1週間以内に得られた。さらに前頭洞と篩骨洞の洞内陰影も改善する例が多かったが, 上顎洞の洞内陰影の改善は遅れる例が多く, このような例で上顎洞の穿刺洗浄療法を18例 (75%) に施行し, 17例 (71%) に膿汁の貯留を認め,...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 36; no. 1; pp. 30 - 35
Main Authors 矢部, 武, 関, 哲郎, 今井, 透
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.02.1993
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.36.30

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Summary:急性の前額部痛, 眼周囲痛を主訴とし, X-Pにおいて前頭洞陰影を認めて, 急性前頭洞炎と診断した24症例を治療した。前頭洞陰影は23例 (96%) に片側性に発生していた。副鼻腔全体のX-P陰影も片側性にのみ認めるものは18例 (83%) であり, 前頭洞陰影を認める患側の節骨洞, 上顎洞陰影は23例 (96%) に陽性を示した。薬剤の内服療法で痛みの改善は全症例で1週間以内に得られた。さらに前頭洞と篩骨洞の洞内陰影も改善する例が多かったが, 上顎洞の洞内陰影の改善は遅れる例が多く, このような例で上顎洞の穿刺洗浄療法を18例 (75%) に施行し, 17例 (71%) に膿汁の貯留を認め, その中に5例の乾酪性上顎洞炎が含まれ, 10例の歯性上顎洞炎が疑われた。以上の結果より, 上顎洞の非急性の炎症が存在することが, 急性前頭洞炎発症の一因となる可能性が示唆された。このことは急性前頭洞炎の治療や予防に参考になると考えられる。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.36.30