脳塞栓症急性期における心内血栓成長の予知 断層心エコー図検査と凝血学的検査による検討

脳塞栓症急性期における心内血栓成長の病態を, 凝血学的検査の面から明らかにする目的で, 脳塞栓発症48時間以内に入院の連続30例を対象とし, 経時的に断層心エコー図検査と, 凝血学的検査 [fibrinogen (FBG), fibrinopeptide A (FPA)] を行なった.断層心エコー図上, 心内血栓出現ないし増大の観察された症例とされなかった症例について, 凝血学的検査値の推移を比較検討した.心内血栓は入院時4例, 入院後新たに4例, 計8例 (27%) に認められ, うち4例では経過中, 更に血栓の増大がみられた.これらのうち3例に塞栓症再発を認めた.心内血栓成長時には, FB...

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Published in脳卒中 Vol. 11; no. 4; pp. 396 - 401
Main Authors 山口, 武典, 矢坂, 正弘, 澤田, 徹, 尾前, 照雄, 宮下, 孟士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.08.1989
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.11.396

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Summary:脳塞栓症急性期における心内血栓成長の病態を, 凝血学的検査の面から明らかにする目的で, 脳塞栓発症48時間以内に入院の連続30例を対象とし, 経時的に断層心エコー図検査と, 凝血学的検査 [fibrinogen (FBG), fibrinopeptide A (FPA)] を行なった.断層心エコー図上, 心内血栓出現ないし増大の観察された症例とされなかった症例について, 凝血学的検査値の推移を比較検討した.心内血栓は入院時4例, 入院後新たに4例, 計8例 (27%) に認められ, うち4例では経過中, 更に血栓の増大がみられた.これらのうち3例に塞栓症再発を認めた.心内血栓成長時には, FBG減少とFPA上昇が認められた.以上からFBG低下とFPA上昇は心腔内凝固充進を反映し, 心内血栓成長の予知, さらには脳塞栓症再発の警鐘となるものと考えられる.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11.396