A型胃炎, 高ガストリン血症を伴う多発性胃カルチノイドの1例

症例は38歳の男性で, 健康診断精査時の上部消化管内視鏡検査にて胃内に多発する小ポリープを指摘された. 生検の結果, 胃カルチノイドと診断され当科紹介となった. 血液検査では血清ガストリン値が800pg/mlと高値であり, 内視鏡的胃酸分泌試験で無酸を呈していた. 超音波内視鏡で最大のポリープは深達度sm1と診断され, リンパ節転移の可能性もあると判断し胃全摘術およびD1リンパ節郭清を施行した. 病理組織所見では最大のポリープを含めた3個のポリープがカルチノイドで, 他は過形成ポリープと診断された. 最大のカルチノイドは深達度smで静脈侵襲陽性 (v1) であったが, 他のカルチノイドはmに限...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 10; pp. 1616 - 1621
Main Authors 溝井, 賢幸, 松野, 正紀, 椎葉, 健一, 木内, 誠, 小山, 淳, 佐々木, 巌, 石井, 誠一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2004
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.37.1616

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Summary:症例は38歳の男性で, 健康診断精査時の上部消化管内視鏡検査にて胃内に多発する小ポリープを指摘された. 生検の結果, 胃カルチノイドと診断され当科紹介となった. 血液検査では血清ガストリン値が800pg/mlと高値であり, 内視鏡的胃酸分泌試験で無酸を呈していた. 超音波内視鏡で最大のポリープは深達度sm1と診断され, リンパ節転移の可能性もあると判断し胃全摘術およびD1リンパ節郭清を施行した. 病理組織所見では最大のポリープを含めた3個のポリープがカルチノイドで, 他は過形成ポリープと診断された. 最大のカルチノイドは深達度smで静脈侵襲陽性 (v1) であったが, 他のカルチノイドはmに限局し脈管侵襲陰性でリンパ節転移は認めなかった. 術後は合併症なく経過, 血中ガストリン値も正常化し第27病日に退院した. A型胃炎に続発し高ガストリン血症を伴う多発性胃カルチノイドの1例を呈示し, その病態と治療方針について文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.37.1616