術前診断が困難であった食道の巨大なfibrovascular polypの1切除例

症例43歳の男性.主訴は嚥下困難.画像診断では頸部食道から胸部下部食道にわたる径15cmの巨大な食道内に発育する隆起性腫瘍で, 生検では悪性所見は得られなかった.しかし, 内視鏡上, 腫瘤粘膜上に潰瘍形成をみることから, 食道癌肉腫と診断し食道癌に準じた手術を施行した.切除標本では, 頸部食道から発生した巨大な有茎性ポリーブで組織学的には良性のfibrovascular polypであった.食道の良性腫瘍は比較的まれだが, 中でも本疾患の報告例は, 世界で70例程度であり, 本邦でも26例にすぎない.また, 10cm以上の巨大ポリープに限れば, 本症例を含めて3例であった.このようにまれな疾患...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 12; pp. 2265 - 2269
Main Authors 竹内, 雅春, 豊坂, 昭弘, 中井, 謙之, 土生, 秀作, 中村, 清昭, 黒田, 暢一, 桑原, 幹雄, 福田, 康文, 岡本, 英三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1995
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Summary:症例43歳の男性.主訴は嚥下困難.画像診断では頸部食道から胸部下部食道にわたる径15cmの巨大な食道内に発育する隆起性腫瘍で, 生検では悪性所見は得られなかった.しかし, 内視鏡上, 腫瘤粘膜上に潰瘍形成をみることから, 食道癌肉腫と診断し食道癌に準じた手術を施行した.切除標本では, 頸部食道から発生した巨大な有茎性ポリーブで組織学的には良性のfibrovascular polypであった.食道の良性腫瘍は比較的まれだが, 中でも本疾患の報告例は, 世界で70例程度であり, 本邦でも26例にすぎない.また, 10cm以上の巨大ポリープに限れば, 本症例を含めて3例であった.このようにまれな疾患ではあるが, 正確な術前診断をしえなかったため, 多大なる侵襲を加えたことに反省を込めて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.28.2265