免疫組織学的遺伝子診断による早期胃癌のリンパ節転移能判定と臨床応用

1986年から1995年に施行した早期胃癌手術326症例のうちリンパ節転移を認めた21例について, ホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いてABC法にて癌関連遺伝子であるp53, c-erb B2, cyclin E, CD44について免疫組織学的検討をおこない, その陽性率について対象群40例と比較検討した. p53, cyclin E, CD44のいずれにおいても陽性率は転移群で有意に高率であり, 3遺伝子ともに陽性を示した症例はn (+) 群: 7/21 (33%), n (-) 群: 3/40 (8%) で. n (+) 群で有意に高率であった. さらにcyclin EまたはCD44が...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 12; pp. 2312 - 2318
Main Authors 戸田, 智博, 松崎, 圭祐, 南園, 義一, 川野, 豊一, 三浦, 修, 安井, 弥, 長崎, 進
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1998
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.31.2312

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Summary:1986年から1995年に施行した早期胃癌手術326症例のうちリンパ節転移を認めた21例について, ホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いてABC法にて癌関連遺伝子であるp53, c-erb B2, cyclin E, CD44について免疫組織学的検討をおこない, その陽性率について対象群40例と比較検討した. p53, cyclin E, CD44のいずれにおいても陽性率は転移群で有意に高率であり, 3遺伝子ともに陽性を示した症例はn (+) 群: 7/21 (33%), n (-) 群: 3/40 (8%) で. n (+) 群で有意に高率であった. さらにcyclin EまたはCD44が強陽性を示した7例は全例がn (+) 群であった. 1996年度の手術症例29例について, 生検標本において転移高危険群と判定した症例は計4例で, n (+) の2例はもれなく含まれていた. 以上より, p53, cyclin E, CD44陽性症例ではリンパ節転移の危険性が極めて高いことを考慮すべきで, 生検組織による術前判定が可能であり, 最適の治療法や術式の決定に活用できるものと考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.31.2312