眼球反対回旋運動の解析 健常人及び前庭機能障害例の検討

健常人17名と片側前庭神経切除手術後例3名, 両側迷路機能高度障害例1名について眼球反対回旋運動を測定した。被験者を鼻-後頭軸を中心軸として左右へ2°/秒で連続傾斜し, このときの眼球画像を赤外線CCDにてビデオ記録し, これを解析した。暗所開眼と一点固視の異なる視野条件で測定したが, 健常人ではocular counterrolling (OCR) は特に差がなく近似していた。片側前庭神経切除手術後例は3例中2例にOCRの減弱やスムーズさの欠如などの異常を認め, この傾向は被験者の患側上傾斜時に顕著であった。両側迷路機能高度障害例は, 両側へのOCRの異常を認めた。これらから, OCR測定は...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 39; no. 1; pp. 56 - 63
Main Authors 小林, 直樹, 森山, 寛, 関口, 千春, 五十嵐, 眞, 金田, 健作, 小林, 毅, 八代, 利伸, 石井, 正則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.02.1996
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.39.56

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Summary:健常人17名と片側前庭神経切除手術後例3名, 両側迷路機能高度障害例1名について眼球反対回旋運動を測定した。被験者を鼻-後頭軸を中心軸として左右へ2°/秒で連続傾斜し, このときの眼球画像を赤外線CCDにてビデオ記録し, これを解析した。暗所開眼と一点固視の異なる視野条件で測定したが, 健常人ではocular counterrolling (OCR) は特に差がなく近似していた。片側前庭神経切除手術後例は3例中2例にOCRの減弱やスムーズさの欠如などの異常を認め, この傾向は被験者の患側上傾斜時に顕著であった。両側迷路機能高度障害例は, 両側へのOCRの異常を認めた。これらから, OCR測定は耳石機能障害部位の推定や, 前庭代償過程の観察や代償完成後の評価に有意義であると考えられた。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.39.56