経気管的針穿刺にて診断した縦隔内副甲状腺腫の1例

症例は73歳, 男性. 主訴は上腹部痛で, 高Ca血症および胸部X線で上縦隔腫瘤影を認め, 血液および経気管的針穿刺により得られた腫瘤内貯留液のPTH値の高値から縦隔内機能性副甲状腺腫と診断した. 手術所見では, 腫瘤は嚢胞状で上大静脈と気管の後方にあり, 下端は大動脈弓のレベル, 上端は茎によって甲状腺下極に連続していた. 組織学的には主細胞型の副甲状腺腫であった. 腺腫の部位および甲状腺との位置関係から, 縦隔内副甲状腺腫ではあるが, いわゆる異所性副甲状腺腫でなく上副甲状腺腫が縦隔内に下降したものである可能性が高いと思われた. 縦隔内副甲状腺腫は稀な疾患であるが, 通常小さなものが多く,...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 32; no. 11; pp. 1104 - 1108
Main Authors 岡崎, 美樹, 松本, 久子, 冨岡, 洋海, 長谷川, 幹, 片上, 信之, 坂本, 廣子, 石原, 享介, 梅田, 文一, 日野, 恵
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.11.1994
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Summary:症例は73歳, 男性. 主訴は上腹部痛で, 高Ca血症および胸部X線で上縦隔腫瘤影を認め, 血液および経気管的針穿刺により得られた腫瘤内貯留液のPTH値の高値から縦隔内機能性副甲状腺腫と診断した. 手術所見では, 腫瘤は嚢胞状で上大静脈と気管の後方にあり, 下端は大動脈弓のレベル, 上端は茎によって甲状腺下極に連続していた. 組織学的には主細胞型の副甲状腺腫であった. 腺腫の部位および甲状腺との位置関係から, 縦隔内副甲状腺腫ではあるが, いわゆる異所性副甲状腺腫でなく上副甲状腺腫が縦隔内に下降したものである可能性が高いと思われた. 縦隔内副甲状腺腫は稀な疾患であるが, 通常小さなものが多く, CTやシンチグラム等でもその局在診断が難しい例が多いといわれ, 本症例のように胸部X線で縦隔腫瘤影を呈し, 経気管的針穿刺により腫瘤内貯留液のPTH高値を証明した例は過去に報告をみない.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.32.1104