Megadolichobasilar anomalyによる水頭症の1例 MR像と水頭症発症機序について

Megadolichobasilar anomaly (MDBA) による水頭症のMR像を供覧し, 水頭症発症の機序について考察した.症例は66歳男性で, 痴呆, 歩行障害を主訴とし, CTにて水頭症, 脳血管撮影にてMDBAを認めた.髄液循環動態検査ではクモ膜下腔に通過・吸収障害なく, 髄液圧も正常で, MDBAによる水頭症と診断した.MR像では延長した脳底動脈とともに, これによる第III脳室底の挙上と第III脳室の変形・狭小化を認めた.また側脳室の拡大, 脳梁の菲薄化を認めたが, 一方第IV脳室・中脳水道も拡大していた.後者の所見から水頭症発症の機序として, water-hammerin...

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Published in脳卒中 Vol. 10; no. 4; pp. 326 - 333
Main Authors 岩本, 俊彦, 新井, 久之, 大野, 大二, 田中, 由利子, 勝沼, 英宇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.08.1988
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Summary:Megadolichobasilar anomaly (MDBA) による水頭症のMR像を供覧し, 水頭症発症の機序について考察した.症例は66歳男性で, 痴呆, 歩行障害を主訴とし, CTにて水頭症, 脳血管撮影にてMDBAを認めた.髄液循環動態検査ではクモ膜下腔に通過・吸収障害なく, 髄液圧も正常で, MDBAによる水頭症と診断した.MR像では延長した脳底動脈とともに, これによる第III脳室底の挙上と第III脳室の変形・狭小化を認めた.また側脳室の拡大, 脳梁の菲薄化を認めたが, 一方第IV脳室・中脳水道も拡大していた.後者の所見から水頭症発症の機序として, water-hammering effectとは別に, 脈拍に同期する第III脳室底の移動による容積変化の影響が考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10.326