確定診断から4年後に手術を施行した直腸子宮内膜症の1例
患者は41歳の女性. 主訴は下血, 排便困難. 1996年以来, 左卵巣子宮内膜症に対してLH-RH analog療法を受けていた. 1998年4月に月経周期に随伴する下血と排便困難で外科を受診した. 大腸内視鏡検査および生検で直腸子宮内膜症と確定診断された. LH-RH analogにより症状は軽快したが, 2002年7月に再度, 排便困難となり, 8月には下血も認めた. 精査の結果, 直腸狭窄として手術適応ありと判断され入院した. 手術は子宮全摘, 両附属器切除, 直腸低位前方切除術を施行し, 経過良好にて第14病日に退院となった. 病理組織学的所見では直腸の漿膜から粘膜下層に強いfibr...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 10; pp. 1436 - 1440 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2003
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.36.1436 |
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Summary: | 患者は41歳の女性. 主訴は下血, 排便困難. 1996年以来, 左卵巣子宮内膜症に対してLH-RH analog療法を受けていた. 1998年4月に月経周期に随伴する下血と排便困難で外科を受診した. 大腸内視鏡検査および生検で直腸子宮内膜症と確定診断された. LH-RH analogにより症状は軽快したが, 2002年7月に再度, 排便困難となり, 8月には下血も認めた. 精査の結果, 直腸狭窄として手術適応ありと判断され入院した. 手術は子宮全摘, 両附属器切除, 直腸低位前方切除術を施行し, 経過良好にて第14病日に退院となった. 病理組織学的所見では直腸の漿膜から粘膜下層に強いfibrosisを伴うendometriosisを認めた. ホルモン療法が奏効した腸管子宮内膜症でも, 長期間経過後に手術適応になることがあり, 十分な経過観察の必要を示唆する1例であった. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.36.1436 |