多数の抗原とエンドトキシンの関与が疑われた加湿器肺の1例

症例は61歳の男性. 両側大腿骨頭壊死の診断で当院整形外科へ入院した. 治療後退院するも帰宅約8時間後に発熱, 緑黄色痰, 呼吸困難が出現. 低酸素血症, 胸部X線上びまん性間質影を指摘され入院となった. 発症前の胸部X線に異常を認めず, 新たな薬剤服用がなかったこと, 症状が退院及び外泊約8時間後に出現し環境誘発試験陽性を示したこと, 並びに諸検査, 画像所見より過敏性肺臓炎が強く疑われた. その後加湿器水との沈降抗体強陽性を示したことより加湿器肺と診断した. 原因抗原に関しては, 培養で得られたほとんどの菌株に沈降抗体を有し複数菌の関与が示唆された. 病理所見で細気管支肺胞領域の他, 血管...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 35; no. 11; pp. 1232 - 1237
Main Authors 青木, 茂行, 坂本, 匡一, 岩瀬, 彰彦, 塩田, 智美, 河端, 美則, 永山, 剛久, 西城, 正雄, 松岡, 緑郎, 仲谷, 善彰
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.11.1997
Subjects
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.35.1232

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Summary:症例は61歳の男性. 両側大腿骨頭壊死の診断で当院整形外科へ入院した. 治療後退院するも帰宅約8時間後に発熱, 緑黄色痰, 呼吸困難が出現. 低酸素血症, 胸部X線上びまん性間質影を指摘され入院となった. 発症前の胸部X線に異常を認めず, 新たな薬剤服用がなかったこと, 症状が退院及び外泊約8時間後に出現し環境誘発試験陽性を示したこと, 並びに諸検査, 画像所見より過敏性肺臓炎が強く疑われた. その後加湿器水との沈降抗体強陽性を示したことより加湿器肺と診断した. 原因抗原に関しては, 培養で得られたほとんどの菌株に沈降抗体を有し複数菌の関与が示唆された. 病理所見で細気管支肺胞領域の他, 血管周囲結合織への細胞浸潤が特徴的であり, 経気道的に進入した抗原が経脈管的にも関与している可能性が推察され, 菌体成分の他に加湿器水中のエンドトキシンなどの可溶性因子が発症に関与している可能性が示唆された.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.35.1232