S状結腸間膜内ヘルニアによるイレウスの1例

症例は39歳の女性で, 悪心, 嘔吐を主訴に当院を受診し, 腸閉塞の診断で入院となった. イレウス管を挿入し保存的治療を行った. 腹部CTで骨盤内に軽度拡張した小腸を認めたが, 閉塞の原因は判明しなかった. イレウス管造影では骨盤内小腸の完全閉塞像を認めた. さらに注腸造影にて遠位回腸まで造影を行ったところ, S状結腸間膜に一致する部位で回腸の完全狭窄が認められた. 帝王切開の既往から癒着性イレウスを最も疑ったが, S状結腸間膜への内ヘルニアも否定できない所見であった. 症状が改善せず, 入院後14日目に手術を施行した. S状結腸間膜左葉に径2cm大の欠損を認め, そこへ回腸が約4cm嵌入して...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 11; pp. 1781 - 1786
Main Authors 秋山, 有史, 青木, 毅一, 中屋, 勉, 藤原, 久貴, 藤田, 倫寛, 斎藤, 和好
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2004
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Summary:症例は39歳の女性で, 悪心, 嘔吐を主訴に当院を受診し, 腸閉塞の診断で入院となった. イレウス管を挿入し保存的治療を行った. 腹部CTで骨盤内に軽度拡張した小腸を認めたが, 閉塞の原因は判明しなかった. イレウス管造影では骨盤内小腸の完全閉塞像を認めた. さらに注腸造影にて遠位回腸まで造影を行ったところ, S状結腸間膜に一致する部位で回腸の完全狭窄が認められた. 帝王切開の既往から癒着性イレウスを最も疑ったが, S状結腸間膜への内ヘルニアも否定できない所見であった. 症状が改善せず, 入院後14日目に手術を施行した. S状結腸間膜左葉に径2cm大の欠損を認め, そこへ回腸が約4cm嵌入していたことから, S状結腸間膜内ヘルニアと診断した. 嵌入回腸を整復し, 間膜欠損部を縫合閉鎖して手術を終了した. S状結腸間膜内ヘルニアはまれな疾患で, 本邦での報告例は自験例も含めて23例のみであり, 女性患者の報告は自験例が初めてである.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.37.1781