大腸sm癌におけるリンパ節転移予測因子としての表層desmoplastic reactionの意義

大腸sm癌のリンパ節転移予測因子として癌の間質線維化反応desmoplastic re-action (以下, DR) の有用性について検討した. 対象: 外科的切除を施行した大腸sm癌59例. n (+) は9例 (15.3%), 組織型は高分化40例, 中分化19例とすべて分化型腺癌であった.方法: 大腸sm癌の臨床病理学的因子とDR発現の比較検討と, 生検組織標本のDR発現について検討を行った. 免疫組織化学染色でα-SMA (+), desmin (-) をDR 陽性と判定した.結果: DR発現は大腸sm癌59例中50例 (84.7%) に認められ, 24例 (41.4%) で表層のD...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 11; pp. 1675 - 1683
Main Authors 笠巻, 伸二, 河井, 健, 渡部, 智雄, 松田, 光弘, 坂本, 一博, 佐々木, 森雄, 冨木, 裕一, 鎌野, 俊紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2005
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.38.1675

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Summary:大腸sm癌のリンパ節転移予測因子として癌の間質線維化反応desmoplastic re-action (以下, DR) の有用性について検討した. 対象: 外科的切除を施行した大腸sm癌59例. n (+) は9例 (15.3%), 組織型は高分化40例, 中分化19例とすべて分化型腺癌であった.方法: 大腸sm癌の臨床病理学的因子とDR発現の比較検討と, 生検組織標本のDR発現について検討を行った. 免疫組織化学染色でα-SMA (+), desmin (-) をDR 陽性と判定した.結果: DR発現は大腸sm癌59例中50例 (84.7%) に認められ, 24例 (41.4%) で表層のDR発現を認めた. sm1では14例中8例 (57.1%) に対し, sm2, 3で45例中42例 (93.3%) とsm2, 3で有意に高率にDR発現を認めた. また, n (-) 50例中16例 (32%) に対し, n (+) では9例中8例 (88.9%) とn (+) で有意に高率に表層のDR発現を認めた. 多変量解析による他因子との比較では独立性は認められなかった. 表層のDR発現は術前の生検組織45標本中22標本 (48.8%) で確認できた. n (+) で術前に生検を施行した7例中6例 (85.7%) で生検組織標本のDR発現を認めた. 考察: 表層のDR発現は大腸sm癌のリンパ節転移予測因子として有用であり, 生検組織標本でのリンパ節転移予測の可能性が示唆された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.38.1675