胃癌の腹膜播種性転移に及ぼす転移陽性リンパ節の影響 腹腔洗浄細胞診による検討
胃癌開腹時に施行した洗浄細胞診218例を対象に, 腹膜転移に及ぼす転移陽性リンパ節の影響を検討した.1) 細胞診陽性率は肉眼的腹膜転移 (P) 陰性例で10.9%, 陽性例で71.0%で, 組織学的リンパ節転移 (n) 程度と共に有意に増加し, 壁深達度 (t) がt3, t4症例ではn程度が進むにつれ有意の高値を示した.2) t3, t4症例の70例とt2症例で細胞診陽性4例を合わせた74例での検討で, 細胞診陽性率は転移陽性リンパ節個数が8個以上群は未満群に比べ, 漿膜浸潤面積が20cm2以上群は未満群に比べ有意の高値を示した.また, 浸潤面積が21) cm2未満群37例での検討では, 細...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 11; pp. 2140 - 2145 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
1997
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.30.2140 |
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Summary: | 胃癌開腹時に施行した洗浄細胞診218例を対象に, 腹膜転移に及ぼす転移陽性リンパ節の影響を検討した.1) 細胞診陽性率は肉眼的腹膜転移 (P) 陰性例で10.9%, 陽性例で71.0%で, 組織学的リンパ節転移 (n) 程度と共に有意に増加し, 壁深達度 (t) がt3, t4症例ではn程度が進むにつれ有意の高値を示した.2) t3, t4症例の70例とt2症例で細胞診陽性4例を合わせた74例での検討で, 細胞診陽性率は転移陽性リンパ節個数が8個以上群は未満群に比べ, 漿膜浸潤面積が20cm2以上群は未満群に比べ有意の高値を示した.また, 浸潤面積が21) cm2未満群37例での検討では, 細胞診陽性率は転移陽性リンパ節個数8個以上群が56.3%と未満群の23.8%に比べ有意に高率であった.以上の結果, 腹膜転移における漿膜浸潤面よりの癌細胞遊離以外に, 転移陽性リンパ節からの癌細胞遊離の可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.30.2140 |