口腔底に発生した巨大類皮嚢胞の1症例

類皮嚢胞は胎生期の発生障害や後天的には外傷, 炎症等による上皮の迷入により身体のどの部位にも発生する。今回我々は口腔底に発生した巨大な類皮嚢胞を経験した。症例は17歳男性で口腔底腫瘤の急速な増大を主訴に当科を受診した。口腔底正中に40×30mmの腫瘤を認め, 構音障害と摂食障害をきたしていた。表面は平滑で腫瘤内は透見できなかった。MRIでは大きさ45×35×30mm, T1低信号T2高信号であった。腫瘤内容物の細胞診では扁平上皮を認めclassIであった。腫瘤表面の性状や内容物の細胞診所見より類皮嚢胞を疑い, 口内法で腫瘤を全摘出した。腫瘤が大きく視野の確保と手術操作が困難であったため, 摘出...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 48; no. 2; pp. 86 - 90
Main Authors 榎本, 浩幸, 佃, 守, 近藤, 律男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.04.2005
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.48.86

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Summary:類皮嚢胞は胎生期の発生障害や後天的には外傷, 炎症等による上皮の迷入により身体のどの部位にも発生する。今回我々は口腔底に発生した巨大な類皮嚢胞を経験した。症例は17歳男性で口腔底腫瘤の急速な増大を主訴に当科を受診した。口腔底正中に40×30mmの腫瘤を認め, 構音障害と摂食障害をきたしていた。表面は平滑で腫瘤内は透見できなかった。MRIでは大きさ45×35×30mm, T1低信号T2高信号であった。腫瘤内容物の細胞診では扁平上皮を認めclassIであった。腫瘤表面の性状や内容物の細胞診所見より類皮嚢胞を疑い, 口内法で腫瘤を全摘出した。腫瘤が大きく視野の確保と手術操作が困難であったため, 摘出に際し腫瘤の一部を開窓し内容物を減量した。病理診断の結果, 嚢胞壁が重層扁平上皮で覆われており, 脂腺を含んでいたため, 類皮嚢胞と診断した。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.48.86