治療中に結核性動脈瘤を併発した粟粒結核の1例
症例は56歳女性。基礎疾患に重症筋無力症があり,平成7年に胸腺切除術を施行し,ステロイドを内服中であった。夜間38~39℃ の発熱が出現,胸部X線上異常陰影を認め幾科に紹介され入院となった。喀痰から抗酸菌塗抹陽性(ガフキー2号)と,胸部CTの所見がびまん性小粒状影であることより粟粒結核と診断し,INH,RFP,EB,PZAにて治療を開始した。以後解熱傾向となり,胸部X線上粟粒影も消退し安定していたが,治療開始6週間後より暖声・嚥下困難が出現し,頸部CT所見・頸部血管造影にて右鎖骨下動脈瘤切迫破裂と診断した。喀痰塗抹にて抗酸菌陽性であったこと,胸腺腫術後のため再開胸による処置が困難と判断し,動脈...
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Published in | 結核 Vol. 82; no. 2; pp. 111 - 114 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
一般社団法人 日本結核病学会
15.02.2007
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0022-9776 1884-2410 |
DOI | 10.11400/kekkaku1923.82.111 |
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Summary: | 症例は56歳女性。基礎疾患に重症筋無力症があり,平成7年に胸腺切除術を施行し,ステロイドを内服中であった。夜間38~39℃ の発熱が出現,胸部X線上異常陰影を認め幾科に紹介され入院となった。喀痰から抗酸菌塗抹陽性(ガフキー2号)と,胸部CTの所見がびまん性小粒状影であることより粟粒結核と診断し,INH,RFP,EB,PZAにて治療を開始した。以後解熱傾向となり,胸部X線上粟粒影も消退し安定していたが,治療開始6週間後より暖声・嚥下困難が出現し,頸部CT所見・頸部血管造影にて右鎖骨下動脈瘤切迫破裂と診断した。喀痰塗抹にて抗酸菌陽性であったこと,胸腺腫術後のため再開胸による処置が困難と判断し,動脈瘤への血流の遮断を目的として,右鎖骨下動脈ステント挿入術・右鎖骨下動脈一右総頸動脈バイパス造成術を施行した。術後嘘声・嚥下困難の改善を認め経過観察としている。結核性動脈瘤は稀な疾患であり,その診断は困難で大部分は剖検時に発見されることがほとんどである。本症例は病理組織的には診断できていないが,臨床経過より粟粒結核治療中に結核性鎖骨下動脈瘤を併発したと思われた。 |
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ISSN: | 0022-9776 1884-2410 |
DOI: | 10.11400/kekkaku1923.82.111 |