直腸内分泌細胞癌の1切除例
症例は46歳の男性で, 約6か月間続く慢性下痢, 左下腹部痛, 会陰部痛を主訴に来院した.大腸内視鏡検査で直腸に2型全周性腫瘍を認め, 生検組織のgrimelius, chromogranin染色が陽性であり内分泌細胞癌と診断した. 遠隔転移の所見はなく, 低位前方切除術 (D2郭清) にて根治手術を施行しえた. 組織学的にa2, n1 (+), H0, P0, stageIIIaであった. 14か月後に局所再発をきたした. 直腸内分泌細胞癌はまれな疾患で, 早期より血行性, リンパ行性転移をきたす悪性度の高い腫瘍で多くの報告例が術後1年以内に死亡している. 内分泌細胞癌は慣用的に悪性カルチノ...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 10; pp. 1624 - 1629 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2005
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.38.1624 |
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Summary: | 症例は46歳の男性で, 約6か月間続く慢性下痢, 左下腹部痛, 会陰部痛を主訴に来院した.大腸内視鏡検査で直腸に2型全周性腫瘍を認め, 生検組織のgrimelius, chromogranin染色が陽性であり内分泌細胞癌と診断した. 遠隔転移の所見はなく, 低位前方切除術 (D2郭清) にて根治手術を施行しえた. 組織学的にa2, n1 (+), H0, P0, stageIIIaであった. 14か月後に局所再発をきたした. 直腸内分泌細胞癌はまれな疾患で, 早期より血行性, リンパ行性転移をきたす悪性度の高い腫瘍で多くの報告例が術後1年以内に死亡している. 内分泌細胞癌は慣用的に悪性カルチノイドと呼ばれたり, カルチノイドや未分化癌, 小細胞癌などの範ちゅうに入れられていることもあり診断に若干の混乱がみられる. 今後, 内分泌細胞癌の有効な治療法を確立するうえでも, 診断法を確立し, 多く症例を集計して生物学的特長を十分に把握する必要があると考えられた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.38.1624 |