Granulocyte-colony stimulating factor産生胃癌の1例

症例は55歳の男性.食欲不振を主訴に来院.入院時検査で白血球増多 (21,200/mm3) を示した.胃透視および胃内視鏡検査で幽門前庭部に2型進行胃癌を認め, 1995年10月30日幽門側胃切除術 (D2) を施行した.手術的進行程度はT2, N2, P0, H0, Stage IIIaで, 腫瘍径は110×90mm, 肉眼分類は 5T2であった.また, 病理組織学的にはpap, ss, ly3, v3, n2であった.術後の白血球数は第3病日の19,200/mm3から第28病日の7,200/mm3まで低下し, 血中G-CSF値も第3病日の195pg/mlより第28病日の60pg/mlまで下...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 10; pp. 2004 - 2008
Main Authors 相本, 隆幸, 吉田, 初雄, 二瓶, 光博, 湖山, 信篤, 左近司, 光明, 恩田, 昌彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1997
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.30.2004

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Summary:症例は55歳の男性.食欲不振を主訴に来院.入院時検査で白血球増多 (21,200/mm3) を示した.胃透視および胃内視鏡検査で幽門前庭部に2型進行胃癌を認め, 1995年10月30日幽門側胃切除術 (D2) を施行した.手術的進行程度はT2, N2, P0, H0, Stage IIIaで, 腫瘍径は110×90mm, 肉眼分類は 5T2であった.また, 病理組織学的にはpap, ss, ly3, v3, n2であった.術後の白血球数は第3病日の19,200/mm3から第28病日の7,200/mm3まで低下し, 血中G-CSF値も第3病日の195pg/mlより第28病日の60pg/mlまで下降した.術後経過は良好で, 1996年1月20日軽快退院した.一方, 抗G-CSF抗 体を用いた免疫組織染色では腫瘍の細胞質が陽性を示した.以上よりG-CSF産生胃癌と診断した.本邦でのG-CSF産生胃癌の報告は自験例を含め7例にすぎない.今回, 極めてまれなG-CSF産生胃癌の1例を経験したので本邦報告例の検討を含め報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.30.2004