当科で経験した急性妊娠脂肪肝 1985年以降本邦発症例との比較について

今回我々は,母児ともに救命し得た急性妊娠脂肪肝の5症例を経験したので報告する.全例初産婦で,中等度の肝障害および凝固障害をきたし,本症として矛盾のない臨床所見を呈していた.症例1を除く4症例で,新鮮凍結血漿および蛋白分解酵素阻害剤を併用しながら帝王切開術を施行した.症例3を除く4症例で,病理組織学的診断を施行し得た. 本邦報告例における生存率は,1985年から1995年の11年間では,1984年以前のそれに比較して改善傾向を示していた.妊娠末期の肝障害に対しては,本疾患の発症を常に予測し,急速遂娩にて妊娠の終了を図ることが母児の救命のためには重要であると考えられた....

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Published in肝臓 Vol. 37; no. 12; pp. 696 - 703
Main Authors 杉原, 綾子, 岩田, 信生, 中村, 裕美子, 垣下, 榮三, 瀬戸, 良文, 大歳, 健一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.12.1996
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.37.696

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Summary:今回我々は,母児ともに救命し得た急性妊娠脂肪肝の5症例を経験したので報告する.全例初産婦で,中等度の肝障害および凝固障害をきたし,本症として矛盾のない臨床所見を呈していた.症例1を除く4症例で,新鮮凍結血漿および蛋白分解酵素阻害剤を併用しながら帝王切開術を施行した.症例3を除く4症例で,病理組織学的診断を施行し得た. 本邦報告例における生存率は,1985年から1995年の11年間では,1984年以前のそれに比較して改善傾向を示していた.妊娠末期の肝障害に対しては,本疾患の発症を常に予測し,急速遂娩にて妊娠の終了を図ることが母児の救命のためには重要であると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.37.696