膵頭十二指腸切除術後の門脈狭窄に対し門脈内ステント留置術を行った1例

症例は67歳の女性で, 平成17年4月に膵頭部癌に対し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術 (膵-胃吻合) を施行した. 術後第27日目に膵管チューブを抜去した. 同日より下血が出現し, 上部消化管内視鏡検査にて膵-胃吻合部周囲に凝血塊を認め, 膵管チューブ抜去による出血が疑われたが, 下血が続いたため腹部CTを施行したところ, 門脈が狭窄していた. 下血は術後38日目に認めなくなった. 下血との関係は明らかではなく, 門脈圧亢進症状も認めなかったが, 血管造影検査にて肝動脈の狭窄も認めたため, 肝不全および静脈瘤形成による消化管出血予防のため門脈内ステント留置術を行った. ステント留置4か月後の腹部...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 12; pp. 1834 - 1838
Main Authors 尾形, 高士, 佐口, 徹, 鈴木, 芳明, 青木, 利明, 加藤, 文昭, 寿美, 哲生, 青木, 達哉, 安田, 祥浩, 土田, 明彦, 高木, 眞人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2006
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.39.1834

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Summary:症例は67歳の女性で, 平成17年4月に膵頭部癌に対し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術 (膵-胃吻合) を施行した. 術後第27日目に膵管チューブを抜去した. 同日より下血が出現し, 上部消化管内視鏡検査にて膵-胃吻合部周囲に凝血塊を認め, 膵管チューブ抜去による出血が疑われたが, 下血が続いたため腹部CTを施行したところ, 門脈が狭窄していた. 下血は術後38日目に認めなくなった. 下血との関係は明らかではなく, 門脈圧亢進症状も認めなかったが, 血管造影検査にて肝動脈の狭窄も認めたため, 肝不全および静脈瘤形成による消化管出血予防のため門脈内ステント留置術を行った. ステント留置4か月後の腹部CT では血栓や再狭窄を認めず, 6か月後の腹部ドプラー超音波検査では門脈血流良好であった. ステント留置後8か月が経過したが, 肝不全や門脈圧亢進症状など認めず, 経過良好で外来通院中である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.39.1834