腎細胞癌の病理組織学的検討 第2報 病理組織像と予後
1957年1月より1980年12月までの24年間に治療した腎細胞癌162例の細胞型, 組織構築, 組織学的悪性度などの病理組織像に臨床病期を考慮して, 特に予後との関係について検討した. 細胞型では, 明調細胞型, 顆粒状細胞型, 混合細胞型間に有意差なく, これらに比較して紡錘細胞型の予後が最も悪く有意差を認めた. 組織構築では, 単一構築型と重複構築型間で有意差はなく, 未分化型がこれら2型に比較して有意に予後不良であつた. 組織学的悪性度を, grade IからIVまでに分類したが, low grade 群 (grade Iおよび grade II)と high grade 群 (gra...
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Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 74; no. 12; pp. 2097 - 2106 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本泌尿器科学会
1983
The Japanese Urological Association 社団法人日本泌尿器科学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5287 1884-7110 |
DOI | 10.5980/jpnjurol1928.74.12_2097 |
Cover
Summary: | 1957年1月より1980年12月までの24年間に治療した腎細胞癌162例の細胞型, 組織構築, 組織学的悪性度などの病理組織像に臨床病期を考慮して, 特に予後との関係について検討した. 細胞型では, 明調細胞型, 顆粒状細胞型, 混合細胞型間に有意差なく, これらに比較して紡錘細胞型の予後が最も悪く有意差を認めた. 組織構築では, 単一構築型と重複構築型間で有意差はなく, 未分化型がこれら2型に比較して有意に予後不良であつた. 組織学的悪性度を, grade IからIVまでに分類したが, low grade 群 (grade Iおよび grade II)と high grade 群 (grade IIIおよび grade IV) 間に有意差を認めた. 臨床病期別予後では, stage 2と stage 3間以外, 各 stage 間に有意差がみられた. 細胞型と組織学的悪性度との予後の相関性は, 明調細胞型の grade Iと grade IV間においてのみ認められたが, 細胞型と臨床病期相互の関係では, 予後に関して相関はみられなかつた. 一方, 組織学的悪性度と臨床病期との予後の相関についてみると, grade Iおよび grade IIにおいて, stage 別に予後の差がみられ, 逆に stage 1および stage 3において, grade 別に予後の差が認められた. つまり, 腎細胞癌の組織像が予後に影響する因子として, 悪性度と臨床病期があり, そのどちらかでも高い方の因子が予後に影響を与える結果であつた. |
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ISSN: | 0021-5287 1884-7110 |
DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.74.12_2097 |