副腎腫瘍及び先天性副腎皮質過形成患者における尿中ステロイドホルモンの分析 グラスキャピラリーカラムガスクロマトグラフィを用いた多種同時測定法による検討

グラスキャピラリーカラムガスクロマトグラフィによる尿中ステロイド多種同時測定法を用いて, 正常者19例, 副腎腫瘍患者14例, 先天性副腎皮質過形成9例について, その尿中ステロイド17種の分析を行なった. 正常者 (男子14例, 女子5例) における結果では, 女子で5β/5αステロイド比が有意に高値を示した. 14例の副腎腫瘍患者における分析では, クッシンク症候群で5β-Hおよび11β-OHステロイド優位の代謝様式が認められた. また3例の全ての副腎癌において tetrahydro-11-deoxycortisol およびΔ5-pregnenetriol の著しい高値が認められた. これ...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 76; no. 10; pp. 1530 - 1541
Main Author 簑和田, 滋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 20.10.1985
The Japanese Urological Association
社団法人日本泌尿器科学会
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.76.10_1530

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Summary:グラスキャピラリーカラムガスクロマトグラフィによる尿中ステロイド多種同時測定法を用いて, 正常者19例, 副腎腫瘍患者14例, 先天性副腎皮質過形成9例について, その尿中ステロイド17種の分析を行なった. 正常者 (男子14例, 女子5例) における結果では, 女子で5β/5αステロイド比が有意に高値を示した. 14例の副腎腫瘍患者における分析では, クッシンク症候群で5β-Hおよび11β-OHステロイド優位の代謝様式が認められた. また3例の全ての副腎癌において tetrahydro-11-deoxycortisol およびΔ5-pregnenetriol の著しい高値が認められた. これは 11β-hydroxylase および3β-OH steroid dehydrogenase 活性の相対的障害によるもので, こうした著しい酵素不均衡の所見は強く癌を示唆するが, 一方で同様の所見が男性化腺腫の1例でも認められた. 癌の1例においてACTH刺激に反応する所見が認められた. 9例の先天性副腎皮質過形成 (21水酸化酵素障害) 患者のうち, 未治療の4例では11β-hydroxyandrosterone, pregnanetriol, pregnanetriolone の著しい高値が特徴的で, この特徴は治療例5例でも認められた. またクッシング症候群とは逆に5α-H優位の代謝を示す所見も認められた. 性ステロイドを主体とした血中ステロイドの種々の状態による肝における5β/5α reductase 活性が変化する可能性が示唆された.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.76.10_1530