腎癌の化学療法 II. Adriamycin と Carboquone 併用療法

In vitro にてヒト腎癌培養細胞が強い感受性を示した doxorubicine hydrochloride (ADM) と carboquone (CQ) を腎癌術後の adjuvant chemotherapy および進行 (advanced) 腎癌に対する化学療法として臨床的に用いて, その効果を検討した. 1978年から1983年の間の腎癌症例49例のうち, 20例に対してADM-CQ併用化学療法 (A-C療法) を adjuvant chemotherapy として行い (A-C群), その他の補助療法または腎摘のみの29例を対照とした. A-C群の3年相対生存率は72.3%で,...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 77; no. 11; pp. 1805 - 1813
Main Author 大沢, 哲雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 20.11.1986
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Summary:In vitro にてヒト腎癌培養細胞が強い感受性を示した doxorubicine hydrochloride (ADM) と carboquone (CQ) を腎癌術後の adjuvant chemotherapy および進行 (advanced) 腎癌に対する化学療法として臨床的に用いて, その効果を検討した. 1978年から1983年の間の腎癌症例49例のうち, 20例に対してADM-CQ併用化学療法 (A-C療法) を adjuvant chemotherapy として行い (A-C群), その他の補助療法または腎摘のみの29例を対照とした. A-C群の3年相対生存率は72.3%で, stage 別の3年生存率は stage I が100%, stage II+IIIが75.8%, stage IV が17.4%であった. 対照群の3年相対生存率は61.7%で, stage 別の3年生存率は stage I が95.3%, stage II+IIIが80.2%, stage IV が24.5%であった. 両群間では有意差を認めなかったが, 今回の集計以前に行っていた術後放射線療法を中心とした時代に比べ, low stage 特に stage I の生存率は有意に向上しており, low stage 腎癌に対する術後 adjuvant chemotherapy が有用であることがわかった. 進行 (advanced) 腎癌に対するA-C併用療法は9例に行った. Karnofsky 効果判定法では, I-A; 2例 (22%), O-A; 4例 (44%), O-B; 1例 (11%), O-O; 2例 (22%) であった. A-C併用療法後の平均生存期間は, I-A群が78週, O-AとB群が47週, O-O群が7週であった. A-C療法は進行腎癌に対しても, 自覚症状の改善 (56%) や生存期間の延長に有用であると考えられた.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.77.11_1805