乳癌手術法の変遷 乳癌縮小手術と一期的乳房再建術の成績と評価

最近13年間(1984~1996年)に当院で取り扱った原発性乳癌504例の術式の年次的推移は1991年に非定型的乳房切除術が定型的乳房切除術を上回り, 標準術式となった. 乳房温存手術は1992年より開始し, 1996年には25%を占めた. 乳頭温存乳腺全切除術は1993年にはじめ, 14例に行われた. いずれも再発は認めていない. 一期的乳房再建術は1994年からはじめ, 患者の希望により55例(全乳癌の32%)に行った. 再建法は広背筋皮弁が47例と最も多く, 広背筋弁6例, 腹直筋皮弁1例, 大胸筋弁1例であり, 方法は簡便かっ安全で, 大きな合併症もなかった. 術後のアンケート調査によ...

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Published in医療 Vol. 51; no. 11; pp. 512 - 517
Main Authors 坂田, 一宏, 草場, 輝雄, 石田, 常博, 徳峰, 雅彦, 塩谷, 恵一, 勅使河原, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.11.1997
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.51.512

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Summary:最近13年間(1984~1996年)に当院で取り扱った原発性乳癌504例の術式の年次的推移は1991年に非定型的乳房切除術が定型的乳房切除術を上回り, 標準術式となった. 乳房温存手術は1992年より開始し, 1996年には25%を占めた. 乳頭温存乳腺全切除術は1993年にはじめ, 14例に行われた. いずれも再発は認めていない. 一期的乳房再建術は1994年からはじめ, 患者の希望により55例(全乳癌の32%)に行った. 再建法は広背筋皮弁が47例と最も多く, 広背筋弁6例, 腹直筋皮弁1例, 大胸筋弁1例であり, 方法は簡便かっ安全で, 大きな合併症もなかった. 術後のアンケート調査により, 一期的再建は整容的にも優れ, 満足度も高く, QOLの向上がみられた. 乳癌の術式は個々の病態や進行度に応じて, QOLを重視して, 患者とのインフォームドコンセントに基いて選択されるべきである.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.51.512