習慣性顎関節脱臼に対する関節結節削除術の7例の治療経験

習慣性顎関節脱臼に対して関節結節削除術を施行した7例について臨床的に検討した。対象症例の多くは精神疾患,神経内科疾患もしくは脳血管障害などの合併症を有していた。保存的治療を試みたが,効果が得られないと判断されたため両側顎関節に全身麻酔下で手術を行った。その結果,全例で顎関節脱臼の再発は認めず,患者のQOLは大きく改善した。また,術後一過性の顔面神経麻痺を認めた1例のほかには合併症も認めなかった。以上より習慣性顎関節脱臼に対する関節結節削除術は,保存的療法が困難な症例に対して有用な1方法であることが示唆された。しかしながら,患者の有する全身疾患に対するリスクよりその適応には今後の検討が必要と思わ...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 24; no. 3; pp. 168 - 174
Main Authors 鹿嶋, 光司, 井川, 加織, 馬場, 貴, 高森, 晃一, 永田, 順子, 吉岡, 泉, 迫田, 隅男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 2012
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Summary:習慣性顎関節脱臼に対して関節結節削除術を施行した7例について臨床的に検討した。対象症例の多くは精神疾患,神経内科疾患もしくは脳血管障害などの合併症を有していた。保存的治療を試みたが,効果が得られないと判断されたため両側顎関節に全身麻酔下で手術を行った。その結果,全例で顎関節脱臼の再発は認めず,患者のQOLは大きく改善した。また,術後一過性の顔面神経麻痺を認めた1例のほかには合併症も認めなかった。以上より習慣性顎関節脱臼に対する関節結節削除術は,保存的療法が困難な症例に対して有用な1方法であることが示唆された。しかしながら,患者の有する全身疾患に対するリスクよりその適応には今後の検討が必要と思われた。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu.24.168