エネルギー変換機能を有する原子レベルで構造制御された液晶ガラス薄膜
新規カチオン型抗菌剤として種々の高分子および低分子ホスホニウム塩を合成し, 第4アンモニウム塩類似体との比較を交えながら構造-活性について論述した. オニウム塩の抗微生物活性に関する系統的な研究を通して, 抗微生物活性が本質的はオニウム塩のリオトロピック液晶性に支配されることを明らかにし, 作用機序の新しい概念を提案した. また, 優れた抗微生物活性・リオトロピック液晶性を有するホスホニウム塩が優れたサーモトロピック液晶性を示すことを見いだし, 電子・光機能薄膜へ展開した. ホスホニウム組織体は固体状態においてもイオン層とガラス状のアルキル層が規則的にスタッキングした集積型構造を示し, 2次元...
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Published in | 高分子論文集 Vol. 58; no. 8; pp. 397 - 410 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 高分子学会
2001
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Summary: | 新規カチオン型抗菌剤として種々の高分子および低分子ホスホニウム塩を合成し, 第4アンモニウム塩類似体との比較を交えながら構造-活性について論述した. オニウム塩の抗微生物活性に関する系統的な研究を通して, 抗微生物活性が本質的はオニウム塩のリオトロピック液晶性に支配されることを明らかにし, 作用機序の新しい概念を提案した. また, 優れた抗微生物活性・リオトロピック液晶性を有するホスホニウム塩が優れたサーモトロピック液晶性を示すことを見いだし, 電子・光機能薄膜へ展開した. ホスホニウム組織体は固体状態においてもイオン層とガラス状のアルキル層が規則的にスタッキングした集積型構造を示し, 2次元イオン層内で正負イオンの自発的な相対変位が起こり非中心対称構造 (永久電気分極) が誘起されることがわかった. この極性構造が電界応答を示すことから, ホスホニウム組織体は自発分極をもつ2次元原子層から構成される「擬似-強誘電体」として機能することが明らかとなった. さらに, オニウム塩に遷移金属イオン, 希土類イオンを組み込んだ有機配位子をもたない新しいイオン性金属錯体液晶を合成し, それらがユニークな相転移現象, 組織体構造を示すことを明らかにした. 加えて, 一般的な強誘電性液晶をその場重合することによって得られる分極制御可能な高分子機能薄膜に関する研究例についても論じた. |
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ISSN: | 0386-2186 1881-5685 |
DOI: | 10.1295/koron.58.397 |