呼吸器感染症に対するSulbactam/Cefoperazoneの有用性の検討 とくにβ-ラクタマーゼとの関連性について

肺炎29例, 気道感染症5例を含む42例の呼吸器感染症患者を対象とし, Sulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) の臨床的有用性を検討した。総合効果が判定可能であった34症例では, 肺炎および気道感染症に対する有効率はそれぞれ79%と80%であった。とくに中等症以下の肺炎症例に対する有効率は92%と優れていた。喀痰からは31株が分離され, Pseudomonas aeruginosa8株, streptococcus pneumoniae7株, Staphylococcus aureusとHaemophilus influenzaeが各3株と多くみられた。細菌学的効果は...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 49; no. 8; pp. 800 - 807
Main Authors 古賀, 宏延, 朝野, 和典, 平潟, 洋一, 河野, 茂, 阿部, 航, 河本, 定洋, 草野, 史郎, 田中, 研一, 森川, 伸雄, 杉山, 秀徳, 勝又, 達哉, 笹山, 一夫, 下口, 和矩, 橋本, 敦郎, 松本, 好幸, 井上, 祐一, 石黒, 美矢子, 堀, 博之, 増本, 英男, 道津, 安正, 田中, 光, 今村, 由紀夫, 神田, 哲郎, 原, 耕平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 25.08.1996
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:肺炎29例, 気道感染症5例を含む42例の呼吸器感染症患者を対象とし, Sulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) の臨床的有用性を検討した。総合効果が判定可能であった34症例では, 肺炎および気道感染症に対する有効率はそれぞれ79%と80%であった。とくに中等症以下の肺炎症例に対する有効率は92%と優れていた。喀痰からは31株が分離され, Pseudomonas aeruginosa8株, streptococcus pneumoniae7株, Staphylococcus aureusとHaemophilus influenzaeが各3株と多くみられた。細菌学的効果は消失18株, 菌交代3株, 不変2株, 不明8株で, 消失率は91%であった。β-ラクタマーゼ産生性別の菌消失率は, β-ラクタマーゼ産生菌が89%, 非産生菌が100%であった。喀痰中のβ-ラクタマーゼ活性の有無別総合効果をみると, β-ラクタマーゼ活性陽性の5例中3例が有効で, 陰性の23例では19例 (83%) が有効以上であった。β-ラクタマーゼ活性陽性の5症例での菌消失率は88%であった。副作用は42例中1例 (2.4%) に中等度の発疹がみられた。臨床検査値異常は38例中10例 (26.3%) に認められ, いずれも一過性かつ軽度であった。 以上より, β-ラクタマーゼ産生菌および非産生菌による呼吸器感染症に対して, SBT/CPZは有効性と安全性の高い薬剤であることが示唆された。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.49.800