工業用ミシンの動力学

本研究で得られたことを要約すれば次のとおりである. (1)送り機構を剛体の平面問題として,24元1次の連立運動方程式から求めた力は実験値とよく対応した.このことから動力学による本理論は送り機構の力の推定法として妥当であると考えられた. (2)特に力Flについては, a)左および右側成分のピーク値は腕の等価長さlのほぼ中立位置で生じる.このとき二叉ロッドは軸方向(送り台は水平方向)に最大変位する. b)変動には約1300Hzと500Hzの高調波が重畳する.前者は腕の運動面内での固有振動により,全領域でみられる.これに対して後者は二叉ロッドの軸力Ffの圧縮時に伝達系の運動面に垂直方向の固有振動によ...

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Published in精密機械 Vol. 51; no. 2; pp. 393 - 399
Main Author 村松, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 精密工学会 05.02.1985
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ISSN0374-3543
DOI10.2493/jjspe1933.51.393

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Summary:本研究で得られたことを要約すれば次のとおりである. (1)送り機構を剛体の平面問題として,24元1次の連立運動方程式から求めた力は実験値とよく対応した.このことから動力学による本理論は送り機構の力の推定法として妥当であると考えられた. (2)特に力Flについては, a)左および右側成分のピーク値は腕の等価長さlのほぼ中立位置で生じる.このとき二叉ロッドは軸方向(送り台は水平方向)に最大変位する. b)変動には約1300Hzと500Hzの高調波が重畳する.前者は腕の運動面内での固有振動により,全領域でみられる.これに対して後者は二叉ロッドの軸力Ffの圧縮時に伝達系の運動面に垂直方向の固有振動による.このため前進送り時には右側成分に,後進送り時には左側成分のみにみられる. c)送りカムスリーブとの間のPV値は,送り量3mm,上軸回転数4000rpmのとき220N/cm2・m/sである.このPV値は上軸回転数の3乗,送り量の1次に比例して増大する. (3)また送り調節器のトルクについては, a)前進送り時にはコイルばねによるトルクTsと慣性力によるトルクTrの和のトルクとなる.このため送り調節器の設定状態は安定である. b)後進送り時には差のトルクとなる.このため送り調節レバーは操作力によるトルクが差のトルクよりも大きくなる力により保持される必要がある.
ISSN:0374-3543
DOI:10.2493/jjspe1933.51.393