治療薬物モニタリング (TDM) の治療への貢献

薬物体内動態は, 他の薬剤の併用によって変化することが報告されている。薬物相互作用は, また他の薬剤の副作用発生を高めるかもしれない。本論文の目的は, 薬物相互作用によって引き起こされた副作用の早期発見と, その処置に対する治療薬物モニタリング (TDM) の効果を明らかにすることである。 リファンピシンとメキシレチンの併用は, 酵素誘導の結果, クリアランスが増加するため, メキシレチン投与量の約50%の増量を必要とする。加えて, リファンピシン投与の中止3日後に, 血清中メキシレチンレベルは, 0.83mcg/mlから2.44mcg/mlへと上昇した。この患者は振戦を起こした。メキシレチソ...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 42; no. 2; pp. 72 - 76
Main Authors 三浦, 崇則, 水谷, 勝, 杉浦, 洋二, 澤田, 郁英, 伊藤, 一廣, 青山, ひろみ, 伊藤, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 01.07.1993
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.42.72

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Summary:薬物体内動態は, 他の薬剤の併用によって変化することが報告されている。薬物相互作用は, また他の薬剤の副作用発生を高めるかもしれない。本論文の目的は, 薬物相互作用によって引き起こされた副作用の早期発見と, その処置に対する治療薬物モニタリング (TDM) の効果を明らかにすることである。 リファンピシンとメキシレチンの併用は, 酵素誘導の結果, クリアランスが増加するため, メキシレチン投与量の約50%の増量を必要とする。加えて, リファンピシン投与の中止3日後に, 血清中メキシレチンレベルは, 0.83mcg/mlから2.44mcg/mlへと上昇した。この患者は振戦を起こした。メキシレチソ投与中止後, この症状は2日以内に消失した。 一方, テオフィリンとメキシレチンを併用した患者は, 悪心, 嘔吐, そして頻脈を起こした。併用治療開始4日後, 血清中テオフィリンレベルは, 27.3mcg/mlの中毒域であった。患者のテオフィリン投与量を25%減量したところ, 副作用は完全に消失した。7日後の血清中テオフィリンレベルは, 正常であった (18.8mcg/ml)。 メカニズムのいかんにかかわらず, 薬物相互作用は薬物投与量の調節 (可能であるならば血清中薬物濃度測定に基づいた調節) の必要性が生じてくる。これらの結果は, TDMが薬物相互作用による副作用の発生を防止することに対して, 有用であることを示唆するものである。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.42.72