結核性胸膜炎後の胸膜肥厚部に発症した胸囲結核の1例-最近10年間の文献的考察

症例は33歳女性. 平成4年12月右結核性胸膜炎と診断, 抗結核化学療法を開始. 平成5年1月中旬には胸水は消失したが胸部CTで右前胸部に限局性の胸膜肥厚が認められた. 3月頃より右前胸部の腫瘤を自覚, 次第に増大し, 9月の胸部CTで胸膜肥厚部近傍の右前胸部軟部組織に膿瘍性病変が認められ, その穿刺物で抗酸菌塗抹陽性を示し, 胸囲結核と診断し, 当科入院となる. 化学療法を継続したが膿瘍はその後も増大し, 化学療法は無効と判断. 平成6年1月28日膿瘍ならびに肋骨切除術を施行した. 膿瘍壁は乾酷壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫が認められ, それと瘻孔でつながる壁側胸膜の限局性の結核性病変も認められ...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 35; no. 9; pp. 1013 - 1019
Main Authors 是枝, 快房, 廣津, 泰寛, 福永, 秀智, 水野, 圭子, 富山, 由美子, 新名, 清成, 東元, 一晃, 城之園, 学, 川畑, 政治, 納, 光弘
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.09.1997
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Summary:症例は33歳女性. 平成4年12月右結核性胸膜炎と診断, 抗結核化学療法を開始. 平成5年1月中旬には胸水は消失したが胸部CTで右前胸部に限局性の胸膜肥厚が認められた. 3月頃より右前胸部の腫瘤を自覚, 次第に増大し, 9月の胸部CTで胸膜肥厚部近傍の右前胸部軟部組織に膿瘍性病変が認められ, その穿刺物で抗酸菌塗抹陽性を示し, 胸囲結核と診断し, 当科入院となる. 化学療法を継続したが膿瘍はその後も増大し, 化学療法は無効と判断. 平成6年1月28日膿瘍ならびに肋骨切除術を施行した. 膿瘍壁は乾酷壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫が認められ, それと瘻孔でつながる壁側胸膜の限局性の結核性病変も認められた. その後1年間化学療法を継続し, 現在は無治療であるが再発は認めない. 結核性胸膜炎後に限局性の胸膜肥厚を認めた場合, 胸囲結核の併発に留意する必要があり, それが疑われたときには積極的に診断をつけ, 比較的早期の外科的切除術が必要と考える.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.35.1013