遺伝性非ポリポーシス大腸癌術後に発症した原発性小腸癌の1例
遺伝性非ポリポーシス大腸癌 (以下, HNPCCと略記) は, 患者のほとんどが大腸癌に限られるLynch症候群 (以下, Lynchと略記) Iと, 大腸以外の他臓器にも悪性腫瘍を併発するLynch IIに亜分類される. 今回HNPCC術後に発生した原発性小腸癌 (Lynch II) の1例を経験したので報告する. 症例は53歳, 男性 (長男). 既往歴: 1990年 (45歳時) に上行結腸の多発癌 (低分化腺癌ss, 中分化腺癌ss) で右半結腸切除術, 1996年 (52歳時) に直腸癌 (m) を内視鏡的切除術. 家族歴: 母方祖父および母が直腸癌 (死亡), 三男が小腸癌と大腸癌...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 5; pp. 1131 - 1135 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
1998
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.31.1131 |
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Summary: | 遺伝性非ポリポーシス大腸癌 (以下, HNPCCと略記) は, 患者のほとんどが大腸癌に限られるLynch症候群 (以下, Lynchと略記) Iと, 大腸以外の他臓器にも悪性腫瘍を併発するLynch IIに亜分類される. 今回HNPCC術後に発生した原発性小腸癌 (Lynch II) の1例を経験したので報告する. 症例は53歳, 男性 (長男). 既往歴: 1990年 (45歳時) に上行結腸の多発癌 (低分化腺癌ss, 中分化腺癌ss) で右半結腸切除術, 1996年 (52歳時) に直腸癌 (m) を内視鏡的切除術. 家族歴: 母方祖父および母が直腸癌 (死亡), 三男が小腸癌と大腸癌 (生存), 五男が肝臓癌 (死亡). 現病歴: 健診で便潜血陽性と貧血を指摘され受診. 小腸造影X線検査でTreitz靱帯の肛門側に隆起性病変が疑われ, 小腸鏡で確認し, 生検で高分化型腺癌と判明した. 空腸部分切除術を施行し, 術後17日目に軽快退院となった. Lynch IIで小腸癌の報告はなく自験例が最初の報告例であった. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.31.1131 |