便潜血反応陽性により発見された大腸癌の臨床病理学的検討

1993年1月より1996年12月の4年間に経験した大腸癌患者のうち便潜血反応陽性により発見された33例と有症状により発見された206例を臨床病理学的に検討した. 男女比, 平均年齢, 腫瘍占居部位に差はなかった. 治療における根治性は便潜血群が高く, 根治度Aは便潜血群97.0%, 有症状群72.4%と有意な差を認めた. 組織学的検討では組織型に差はなかったが, 壁深達度がm, sm, n (-), Dukes Aの割合が便潜血群で有意に高かった. また, 腫瘍占居部位別では右側, 左側結腸で便潜血群が有意にm, sm, Dukes Aの割合が高く, 有症状群は逆にDukes Aはなく非常に...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 5; pp. 1090 - 1094
Main Authors 和田, 徳昭, 長谷川, 博俊, 藤崎, 真人, 高橋, 孝行, 平畑, 忍, 前田, 大, 滝沢, 健次郎, 渡辺, 昌也, 関根, 和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1998
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Summary:1993年1月より1996年12月の4年間に経験した大腸癌患者のうち便潜血反応陽性により発見された33例と有症状により発見された206例を臨床病理学的に検討した. 男女比, 平均年齢, 腫瘍占居部位に差はなかった. 治療における根治性は便潜血群が高く, 根治度Aは便潜血群97.0%, 有症状群72.4%と有意な差を認めた. 組織学的検討では組織型に差はなかったが, 壁深達度がm, sm, n (-), Dukes Aの割合が便潜血群で有意に高かった. また, 腫瘍占居部位別では右側, 左側結腸で便潜血群が有意にm, sm, Dukes Aの割合が高く, 有症状群は逆にDukes Aはなく非常に進行した癌が多かった. 直腸ではこの傾向は認めなかった. 以上により便潜血反応により発見された大腸癌は有症状群に比べ進行度も低く良好な予後が期待され, また症状の出にくい深部大腸癌の早期発見に便潜血反応は特に有用であると思われた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.31.1090