肝硬変の肝外門脈血行異常について 門脈造影法を中心に

肝硬変症例37例につき経皮経肝的門脈造影像を中心に検討し,その肝外門脈血行異常を,食道静脈瘤以外の側副血行路を主体とする血行異常群(I群)20例と食道静脈瘤を主体とする血行異常群(II群)17例とに分け両群間の差異を検討した.(I群)の主要側副血行路は,傍臍静脈短絡路8例,胃-腎短絡路4例,脾-腎短絡路2例,上・下腸間膜静脈一下大静脈短絡路6例であった.(I群)の肝性脳症は12例(60%)にみられ,(II群)の1例(6%)に比べて高率であった(p<0.005),門脈圧は(I群)は30±7cmH2O, (II群) 35±7cmH2Oであり,有意差を認めなかった.ICG R15値は各々47....

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Published in肝臓 Vol. 31; no. 2; pp. 190 - 197
Main Authors 桜林, 真, 瀬在, 秀一, 山本, 佳洋, 浜田, 英治, 讃井, 慎一, 吉野, 克正, 清水, 敏朗, 森田, 敏和, 平野, 正憲, 岩瀬, 透, 岡, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.02.1990
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Summary:肝硬変症例37例につき経皮経肝的門脈造影像を中心に検討し,その肝外門脈血行異常を,食道静脈瘤以外の側副血行路を主体とする血行異常群(I群)20例と食道静脈瘤を主体とする血行異常群(II群)17例とに分け両群間の差異を検討した.(I群)の主要側副血行路は,傍臍静脈短絡路8例,胃-腎短絡路4例,脾-腎短絡路2例,上・下腸間膜静脈一下大静脈短絡路6例であった.(I群)の肝性脳症は12例(60%)にみられ,(II群)の1例(6%)に比べて高率であった(p<0.005),門脈圧は(I群)は30±7cmH2O, (II群) 35±7cmH2Oであり,有意差を認めなかった.ICG R15値は各々47.4±12.7%, 33.2±11.0% (p<0.01)と両群間に有意差を認めた.ICG R15値と門脈圧の相関を両群でみると,(I群)において負の相関を示した.以上のごとく,(I群)は(II群)と比較して,1)肝性脳症の頻度が高い,2) ICG R15値が高値,3)門脈圧とICG R15値が負の相関を示す,という特徴があった.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.31.190