10cm以上の大型肝細胞癌の臨床病理学的検討と治療方法の選択

近約8年間に経験した最大径10cm以上の大型肝細胞癌31例を切除群 (19例) 非切除群 (12例) に分け臨床病理学的ならびに治療成績を比較検討した. 切除率は61.3%で切除群は右葉原発で肉眼的進行程度II, IIIまでにとどまるものが多く, 臨床病期も良好で肝硬変の併存は少なかった. 切除群では組織学的に被膜形成94.7%, 肝内転移78.9%, 門脈内腫瘍栓94.7%を認め, 耐術例の再発転移は76.5%と高率であったが集学的治療を積極的に行うことにより5年生存率は52.1%と良好であった.非切除群では進行した症例が多く肝動脈塞栓療法, 化学療法を行っても1年生存率はわずかに10.4%...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 22; no. 7; pp. 1783 - 1790
Main Authors 林, 賢, 高安, 賢一, 森山, 紀之, 村松, 幸男, 山田, 達哉, 長谷川, 博, 山崎, 晋, 幕内, 雅敏, 岡崎, 伸生, 広橋, 説雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1989
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Summary:近約8年間に経験した最大径10cm以上の大型肝細胞癌31例を切除群 (19例) 非切除群 (12例) に分け臨床病理学的ならびに治療成績を比較検討した. 切除率は61.3%で切除群は右葉原発で肉眼的進行程度II, IIIまでにとどまるものが多く, 臨床病期も良好で肝硬変の併存は少なかった. 切除群では組織学的に被膜形成94.7%, 肝内転移78.9%, 門脈内腫瘍栓94.7%を認め, 耐術例の再発転移は76.5%と高率であったが集学的治療を積極的に行うことにより5年生存率は52.1%と良好であった.非切除群では進行した症例が多く肝動脈塞栓療法, 化学療法を行っても1年生存率はわずかに10.4%であった. 大型肝細胞癌の治療には切除術が最も有効であると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.22.1783