巨大な後腹膜神経線維腫を合併した小児von Recklinghausen病の1例

von Recklinghausen病 (以下, R病) の小児に, 後腹膜および馬尾神経から多発性に発生した巨大な腫瘍の1例を経験したので報告する. 症例は9歳の男児. 生下時よりカフェオーレ斑および頸部・躯幹に多発性の皮下腫瘤を認めていた. 脱肛と肛門刺激症状のため受診. 下腹部に巨大な腫瘤を触知し, 経直腸的針生検にて神経線維腫と診断された. CT, MRIの所見では骨盤から膵臓に至る後腹膜に巨大な腫瘍が認められ, 仙骨管腔を通じて馬尾神経腫瘍と連なっていた. 手術はまず, 仙骨部の両側にわたる馬尾神経腫瘍を切除した後, 2期的に開腹術を施行した. 腫瘍は骨盤内から後腹膜を広範に占拠し,...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 8; pp. 1830 - 1834
Main Authors 永井, 英司, 末原, 伸泰, 青木, 康明, 岸川, 英樹, 伊藤, 隆康
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1996
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.29.1830

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Summary:von Recklinghausen病 (以下, R病) の小児に, 後腹膜および馬尾神経から多発性に発生した巨大な腫瘍の1例を経験したので報告する. 症例は9歳の男児. 生下時よりカフェオーレ斑および頸部・躯幹に多発性の皮下腫瘤を認めていた. 脱肛と肛門刺激症状のため受診. 下腹部に巨大な腫瘤を触知し, 経直腸的針生検にて神経線維腫と診断された. CT, MRIの所見では骨盤から膵臓に至る後腹膜に巨大な腫瘍が認められ, 仙骨管腔を通じて馬尾神経腫瘍と連なっていた. 手術はまず, 仙骨部の両側にわたる馬尾神経腫瘍を切除した後, 2期的に開腹術を施行した. 腫瘍は骨盤内から後腹膜を広範に占拠し, さらに神経に沿ってS状結腸や直腸, 膀胱壁にびまん性に広がっていた. 手術は両親の希望により下部直腸と膀胱は残し, 腫瘍をS状結腸とともに可及的に切除した. 小児R病の患者で, 後腹膜に巨大腫瘍を形成することは極めてまれで, 類似症例は文献上2例しか見いだせなかった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.29.1830