巨大腎血管筋脂肪腫腹腔内破裂の1例 選択的動脈塞栓術の効果

症例は40歳女性.結節性硬化症と左右の腎血管筋脂肪腫で経過観察され,腎腫瘍は左25×20×11cm,右20×20×11cmになっていた.そして突然の腹痛,腹囲増大,ショック症状を呈する腎腫瘍の腹腔内破裂を繰り返し生じるようになった. 3度目の破裂時は保存的治療では血圧を維持できず,緊急に腫瘍の大半を支配している左腎下区域動脈を金属コイルで塞栓した.これによって血圧は安定した.術後,発熱と腹痛が2週間続いた.術後3カ月で腫瘍は17×17×8cmに縮小し,再破裂は生じていない.本邦報告では腎血管筋脂肪腫への選択的動脈塞栓術で腫瘍の止血は良く得られており,術後経過記載例は全て再破裂はなく腫瘍縮小が得...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 2; pp. 517 - 522
Main Authors 芥川, 篤史, 伊藤, 直人, 高山, 祐一, 橋本, 瑞生, 佐藤, 太一郎, 秋田, 幸彦, 佐々木, 英二, 北川, 喜己
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.02.2001
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.517

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Summary:症例は40歳女性.結節性硬化症と左右の腎血管筋脂肪腫で経過観察され,腎腫瘍は左25×20×11cm,右20×20×11cmになっていた.そして突然の腹痛,腹囲増大,ショック症状を呈する腎腫瘍の腹腔内破裂を繰り返し生じるようになった. 3度目の破裂時は保存的治療では血圧を維持できず,緊急に腫瘍の大半を支配している左腎下区域動脈を金属コイルで塞栓した.これによって血圧は安定した.術後,発熱と腹痛が2週間続いた.術後3カ月で腫瘍は17×17×8cmに縮小し,再破裂は生じていない.本邦報告では腎血管筋脂肪腫への選択的動脈塞栓術で腫瘍の止血は良く得られており,術後経過記載例は全て再破裂はなく腫瘍縮小が得られていた.選択的動脈塞栓術は腎血管筋脂肪腫破裂時の止血や腫瘍縮小が得られる治療法であることが示唆された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.517