胸腔鏡下食道癌手術はminimally invasive surgeryか?

当科では胸部食道癌に対し積極的に胸腔鏡下切除を行ってきたが, この手術が癌に対する根治性を損なわない手術か? はたしてminimally invasive surgeryといえるか? について検討した.対象は1994年9月から1997年2月までの29か月間に行った37例で, 手術侵襲に関しては過去に行った開胸手術症例を対照として比較検討し, 根治度に関しては縦隔内郭清リンパ節と郭清後の縦隔の画像を検討した.結果は, 術後疼痛の軽減, 呼吸機能の早期回復など鏡視下手術の利点は顕著であったが, 術直後の気道管理の必要性, 合併症の頻度などは差が無く, minimally invasive surg...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 4; pp. 1010 - 1014
Main Authors 金田, 巌, 樋口, 則男, 赤石, 隆, 海野, 賢司, 菊地, 二郎, 古田, 昭彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1998
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Summary:当科では胸部食道癌に対し積極的に胸腔鏡下切除を行ってきたが, この手術が癌に対する根治性を損なわない手術か? はたしてminimally invasive surgeryといえるか? について検討した.対象は1994年9月から1997年2月までの29か月間に行った37例で, 手術侵襲に関しては過去に行った開胸手術症例を対照として比較検討し, 根治度に関しては縦隔内郭清リンパ節と郭清後の縦隔の画像を検討した.結果は, 術後疼痛の軽減, 呼吸機能の早期回復など鏡視下手術の利点は顕著であったが, 術直後の気道管理の必要性, 合併症の頻度などは差が無く, minimally invasive surgeryとは言い難かった.癌の根治度に関しては, 郭清した縦隔内リンパ節数が平均23.8個と従来の開胸手術の18.5個と差が無く, 郭清後の画像からも開胸とそん色のない郭清が可能と考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.31.1010