十二指腸第4部癌の切除例

症例は65歳の男性で, 嘔気と体重減少を主訴に当院を受診した. 上部消化管造影と小腸内視鏡検査で十二指腸第4部に全周性狭窄を示す2型の腫瘍を認め, 生検より中分化型腺癌と判明した. 腹部CTでは腫瘍は十二指腸空腸曲部の著明な壁肥厚像として認めるも, 周囲の主要な血管への浸潤像はなく, 治癒切除可能と診断し, 手術を施行した. 術中, 迅速病理診断で膵頭部領域のリンパ節に転移はないことを確認した. 肉眼的には, 腫瘍による膵臓への直接浸潤がなく, 十二指腸の切除口側断端も確保できることから, 十二指腸・空腸部分切除術とリンパ節郭清を施行した. 切除標本の病理診断は, T3, N0, M0, St...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 8; pp. 1380 - 1384
Main Authors 落合, 実, 木下, 博之, 大西, 博信, 谷口, 勝俊, 佐原, 稚基, 谷村, 弘, 辻, 毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2006
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.39.1380

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Summary:症例は65歳の男性で, 嘔気と体重減少を主訴に当院を受診した. 上部消化管造影と小腸内視鏡検査で十二指腸第4部に全周性狭窄を示す2型の腫瘍を認め, 生検より中分化型腺癌と判明した. 腹部CTでは腫瘍は十二指腸空腸曲部の著明な壁肥厚像として認めるも, 周囲の主要な血管への浸潤像はなく, 治癒切除可能と診断し, 手術を施行した. 術中, 迅速病理診断で膵頭部領域のリンパ節に転移はないことを確認した. 肉眼的には, 腫瘍による膵臓への直接浸潤がなく, 十二指腸の切除口側断端も確保できることから, 十二指腸・空腸部分切除術とリンパ節郭清を施行した. 切除標本の病理診断は, T3, N0, M0, Stage IIであった. 十二指腸第4部癌について, 手術術式を中心に文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.39.1380