放射線化学療法が有効であった平滑筋腫併存食道癌の1例

症例は54歳男性.1990年6月集団検診にて食道の異常を指摘され当院を受診.食道造影で胸部上部食道に20×16×10mm大の隆起性病変を認め, 内視鏡で表面にびらんを伴う表在隆起型食道癌と診断した.腫瘤表面よりの生検では扁平上皮癌が得られた.治療は放射線照射50Gyと5-Fu 1,000mg/m2/dayおよびシスプラチン25mg/m2/dayをともに5日間持続静注による化学療法2コース施行した.治癌効果判定で腫瘍の縮小が認められなかったため1991年3月7日手術を施行した.病理組織学的には隆起性病変は正常食道粘膜に覆われており, 腫瘍は粘膜筋板より発生した平滑筋腫であった.腫瘍の表面上皮には...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 25; no. 4; pp. 1061 - 1065
Main Authors 清水, 秀昭, 尾形, 佳郎, 遠山, 邦宏, 尾沢, 厳, 稲田, 高男, 松井, 淳一, 菱沼, 正一, 固武, 健二郎, 小山, 靖夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1992
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Summary:症例は54歳男性.1990年6月集団検診にて食道の異常を指摘され当院を受診.食道造影で胸部上部食道に20×16×10mm大の隆起性病変を認め, 内視鏡で表面にびらんを伴う表在隆起型食道癌と診断した.腫瘤表面よりの生検では扁平上皮癌が得られた.治療は放射線照射50Gyと5-Fu 1,000mg/m2/dayおよびシスプラチン25mg/m2/dayをともに5日間持続静注による化学療法2コース施行した.治癌効果判定で腫瘍の縮小が認められなかったため1991年3月7日手術を施行した.病理組織学的には隆起性病変は正常食道粘膜に覆われており, 腫瘍は粘膜筋板より発生した平滑筋腫であった.腫瘍の表面上皮には生検材料で見られた癌細胞は認められなかった.平滑筋腫を覆う上皮に一致して癌が併存していたが, 放射線化学療法により癌は消失し, 平滑筋腫のみ残存したものと考える.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.25.1061