結腸癌を合併した原発性胆汁性肝硬変の1例

結腸癌を合併した原発性胆汁性肝硬変 (PBC) の1例を報告する. 症例は58歳の女性で, 全身倦怠感, 黄疸を主訴に当院を受診した. 血液生化学検査で肝機能異常を認めた. HBS抗原, HCV抗体は陰性, 抗ミトコンドリア抗体が陽性で, PBCの診断を得た. 下部消化管精査にてS状結腸に腫瘍を認め, 生検にて腺癌の診断を得た. 肝機能正常化後, 結腸癌に対しS状結腸切除術, D2郭清, さらに肝生検を施行した. 術後経過は良好であった. S状結腸に40×37mmの3型腫瘍を認め, 病理組織的に中分化型腺癌の診断を得た. 深達度はss, リンパ節転移を認めず, Stage IIであった. 肝生...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 9; pp. 1549 - 1554
Main Authors 成田, 淳一, 境, 雄大, 須藤, 武道, 木村, 大輔, 小倉, 雄太, 相内, 晋, 藤田, 孟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2004
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.37.1549

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Summary:結腸癌を合併した原発性胆汁性肝硬変 (PBC) の1例を報告する. 症例は58歳の女性で, 全身倦怠感, 黄疸を主訴に当院を受診した. 血液生化学検査で肝機能異常を認めた. HBS抗原, HCV抗体は陰性, 抗ミトコンドリア抗体が陽性で, PBCの診断を得た. 下部消化管精査にてS状結腸に腫瘍を認め, 生検にて腺癌の診断を得た. 肝機能正常化後, 結腸癌に対しS状結腸切除術, D2郭清, さらに肝生検を施行した. 術後経過は良好であった. S状結腸に40×37mmの3型腫瘍を認め, 病理組織的に中分化型腺癌の診断を得た. 深達度はss, リンパ節転移を認めず, Stage IIであった. 肝生検標本ではPBCの診断で, Scheuer分類のII期であった. PBCに肝外悪性腫瘍を合併した症例は散見されるが, 大腸癌との合併症例の報告はまれである. PBC患者では初診時および経過観察時に消化管を含めた肝外悪性腫瘍の検索を行うべきである.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.37.1549